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東京学芸大学「多様な学びと子ども支援」講義を担当して

2016年8月19日

今年の2月に東京・早稲田大学で開催された「多様な学び実践研究フォーラム」では、学芸大学と早稲田大学で今年度、「多様な学びの現状」を学生に伝える目的の講座が開講するという報告がありました。また、それとともに、その講座で現場教師による話が聞きたいという要請もありました。東京学芸大学で4月から開講された「多様な学びと子ども支援」講座は、同大学の加瀬進先生の尽力があり、東京シューレの奥地圭子さんがチューターとなり、全課程を構成することとなったそうです。その一連の講義の一コマ(90分)を使ってシュタイナー教育について語ってくれないかという打診があり、6月7日に東京賢治シュタイナー学校の後藤洋子先生との共同講義の形でお引き受けしました。
わたしたちは事前にミーティングを重ねて内容を絞り込み、90分にぎゅうぎゅう詰めの情報を用意して臨みました。
201607学芸大長井先生
受講する学生さんたちは、教員養成課程ではなく、将来ソーシャルワーカーになるような課程に所属する1,2年生が主で、一日で一番遅い講義時間に30数名が集まりました。
学生たちの顔を見渡すと多少眠たそうに見えましたが、シュタイナー教育について説明し始めると、耳新しかったらしく、しきりにノートを取り始めました。
講義は、シュタイナー教育の理念から始めました。いわゆるフリースクールとは一線を画するものであることを的確に伝えるために「シュタイナー教育は、自由な教育ではなく、自由への教育なのです」と語りました。その後、エポック授業の実際を低学年から高等部卒業までを後藤先生と交代で、エポックノートの写真を紹介しながらざっと俯瞰する形で説明し、続いて東京賢治シュタイナー学校の卒業生の進路や生き方を紹介、最後には学校協会の結成の経緯など、学校間の連携について、今後の課題について述べて締めくくりました。
途中、後藤先生が、リズムの時間にこのように学んでいますという例として、掛け算九九を使ったアクティヴィティーを採り入れてくださり、講義疲れの学生たちの眠気を覚ましました。
まさにあっという間の90分間で、話したい事全て話しきれたか不安でしたが、講義後に提出してもらった学生からの感想には
「自由への教育という言葉に感銘を受けた」
「エポックノートの素晴らしさに圧倒された」
「こういう教育を自分も受けてみたかった」
「こんな教育を受けたら、不登校にはならないのではないか」
という共感や感動を込めたものが多かったように思います。短い時間にたくさんの事を吸収し、理解してくれたのだなぁと分かり、ほっとしました。中には、
「自分は普通の教育でよい」
「教師の仕事の大変さは計り知れない。自分には出来ないと感じた」
「少しカルトっぽいと感じた」
という率直な戸惑いを表現する感想もありました。ほとんどの学生がこれまでずっと従来の教育に身を任せてきて、多様性のある学びについてほとんど知らずに来た、ということも分かりました。
秋からは早稲田大学でも同様の内容の講座を開講するとのことです。
このように少しずつ、多様性のある教育の認知度を上げていく試みが公の教育機関でも広がっていくとよいと思いました。
(7年生担任 長井麻美)