1/21開催「多様性の教育」レポート

2018年02月04日

会場はあたたかでオープンな雰囲気に包まれた

1月21日(日)、東海大学教授の小貫大輔さんを講師にお迎えし、保護者有志グループ主催で「多様性の教育〜多文化・複文化を身につけて生きるということ〜」を開きました。
「今小貫さんが最も熱く取り組んでいることをテーマにしたい」というのが、私たちから小貫さんへのリクエストで、それに応えて「多文化共生」をテーマにしてくださったのです。
「差別や偏見のない社会」や「互いの違いを認め尊重すること」が大事だということは、私も頭ではわかっているつもりですが、私が暮らし学園のあるこの街には、インドのインターナショナルスクールがあり500名ものインドの方が住んでいらっしゃるというのに、私にはまだインドの友達がいません。どのようにして、あらゆる背景を持った人たちが認め合える社会をつくることができるのか。そもそも日本人同士だからって違いを認めて付き合っていけているだろうか。「多文化・複文化を身につけて生きるということ」についてちゃんと考えてみたい。そう思って当日を迎えました。

小貫さんは、東京大学とハワイ大学の大学院で性教育を学んだ後、ブラジルに渡って、エイズ予防、自然分娩・母乳育児の推進、子育て支援などの活動をしてきた方です。その間に、スラム「モンチアズール」で、アントロポゾフィーをもとに貧しい人たちの支援をしてきたウテ・クレーマーさんに出会い、協働してこられました。帰国されてからも多国籍の子どもたちの教育支援などを精力的に行っています。
小貫さんこそ「歩く複文化」!(笑)国が違えば挨拶もこんなに違うのか、という具合で参加者同士体感した「おじぎ」「握手」「ハグ」で会場はかなり温まり、皆、ぐいぐい話に引き込まれていくのがわかりました。 私が小貫さんの講座に参加するのは3回目ですが、毎回、背景にある豊かで大らかな世界観に魅了され、終わった後には大きな力をもらったような気持ちになります。この日参加された30名もの人たちがみんな笑顔でいい表情をしていたのがとても印象的でした。

ワークショップの一コマ。みんな良い笑顔

日本に住む外国籍の方のお話にも触れられました。外国籍の子の教育環境のことを、私は今まで知ろうとしてきませんでした。同じ県内の海老名市や綾瀬市には多くのスリランカのイスラム教徒が住んでいて、自分たちで学校を作って子どもを教育していることも初めて知りました。今の日本では外国籍の子どもたちに教育を受けさせる義務はありません。彼らがやがて大人になり、日本で働き暮らしていくかもしれないのに。共に生きていくことで、より豊かな社会が作れるはずだという話には大きくうなずきました。

「未来の人類は、隣人が不幸である限り、誰もやすらいだ気持ちで自分の幸せを喜ぶことはできなくなるだろう」

ウテ・クレーマーさんが大事にしているシュタイナーの言葉だそうです。
そして現代に重要なキーワードが「Empathy=共感」だと小貫さんは言います。アクティブラーニングという言葉をよく聞くようになりましたが、世界の先進は「共感」の教育や、「赦し」の政治なのだそうです。
ダイバーシティアンドインクルージョン。多様性と違いを認められる社会が、私たちが進むべき未来。Empathyの力で本当に豊かな社会を作っていかなければ。そのためにはどうしたらいいのでしょう。
「多文化政策、多様性を認められる社会を作るには、複文化を持つ人を育てないといけない」というお話がありましたがその通りですね。まずは私自身もEmpathyを大事にしていこう。
あ!1年生の時から2ヶ国語を学び(※シュタイナー学校では、言語習得のためというより、異なる文化を知るための入り口として低学年から外国語の授業があります)、心を育てる時期にシュタイナー教育を受けている学園の子どもたちは良いセンいってるんじゃない?なんて、また手前味噌に思いつつ、せっかく近くにいるのだから、インドインターナショナルスクールとの交流も生まれたら良いなと思い描いています。

講座が終わって日が経ちますが、国によって異なる文化=挨拶のワークショプの余韻が残っています。相手に配慮し繊細に気配を感じる「おじぎ」。しっかり目を合わせて硬く手を握り合う「握手」。握手よりも距離を縮め相手の懐に入っていく「ハグ」。どれが良い悪いじゃなく、どれもそれぞれの国の人たちが大事にしてきた文化で、それぞれの良さがある。でも私がじんわり温かく心地よく思い出されるのは、ハグでした。時には思い切って距離を縮めて相手を知ろうとしてみる。最初は恥ずかしくてドキドキするしちょっと怖い気もしますが、きっと温かいものが生まれることでしょう。

最後に。今回は近隣でインドの方たちと交流している団体の方や、日本語教師の方、公立小中学校の先生、日系のブラジルの方、小貫さんの学生さんなど、学内保護者以外の方の参加もあって、まさにテーマの通りの交流が生まれたことがとても嬉しかったです。ご参加いただいた皆さん、何より講師の小貫大輔さん、ありがとうございました!

学園保護者お手製の“多文化クッキー”。お茶の時間でさらに場が和やかに。

※この講座の収益は、2018年3月29日〜4月2日開催「 “社会イニシアティブ”世界フォーラム」のために来日する、ウテ・クレーマーさんの渡航等諸費用に全額寄付されます。
“社会イニシアティブ”世界フォーラム  http://waldorf.jp/2018/01/16/wsif/

(3・6年生保護者 中島美穂)