1年生が入学して、2か月近く経とうとしています。担任の神田ひとみ先生は「子どもたちは、だいぶ慣れてきましたが、いい具合の緊張感を持って過ごしています」と話していました。
少し前のことになりますが、入学式から間もない4月に行われた春祭りの様子をお伝えします。
1年生が入学してから一週間後の4月22日の月曜日に、霧が丘校舎の校庭で春祭りが行われました。
横浜シュタイナー学園の霧が丘校舎には5年生までの教室があり、6年生になると十日市場校舎に移動するため、春祭りは毎年5年生までの子どもたちでお祝いされています。春祭りというのはいわゆるイースターのことなのですが、宗教的な意味合いの持つ祝祭というよりも、学校では「新しい子どもたちとの出会いの喜びのお祭り」として祝われています。
春休み前の手仕事の時間に、子どもたちはまだ出会っていない新しい仲間に想いを馳せながら贈り物を作ってくれていました。2年生は毛糸でつくったポンポンうさぎ、3年生はフェルトを縫ったひよこ、4年生は羊毛でふわりとしたことりを作ります。それぞれの学年(月齢)の子どもたちが手を動かすのにふさわしいものを先生方が考えてくださっているのですが、仕上がったものを見るとどれもその学年の子どもらしさが感じ取れます。
春祭りでは、自分たちが作ったものを校庭の草木の間などに隠しておき、それを1年生に見つけてもらうことになっているので、4年生までの子どもたちが校庭で準備をしている間、5年生が教室にいる1年生を迎えに行きます。私たち1年生保護者は、贈り物を仕込み終えたタイミングで校庭に合流させてもらいました。
1年生たちが来るまでに少し時間があったので、5年生担任の神田先生が「歌の練習をしましょう」とおっしゃいました。それは「Come Follow Me」という英語の歌なのですが、何度か歌ってみた後に、まだ言葉の意味がわからない子どもたちのために神田先生は歌詞を体で表現してみせました。歌は「Come, follow, follow, follow, follow, follow, follow me.」と始まるのですが、それをそのまま日本語にして”説明”するのではなく、4年生担任の横山先生に手招きをしながら歩き、横山先生が神田先生について行く…というように、歌詞の内容を二人の先生が実践して子どもたちに見せていました。なるほど、「実体験に基づく教育」を大切にしている学校ではこのような教え方になるのだなと改めて感心しました。
そうこうしている内に、1年生が5年生に付き添われて校庭に現れ、全員が輪になると、早速贈り物を探します。自分の子どもはどんな様子だろうかと見ていると、「これから何かを探すのだ」と理解した娘が、見たこともない程ワクワクしたような表情をしていて、思わずびっくりしてしまいました。でも、隣で付き添ってくれている5年生の子が目に入った時には、もっと驚いてしまったのです。これまで見かけてきた彼女とは全く違う、とても”お姉さん”の顔になっていました。ほわんと、やわらかな雰囲気をまとったその子のことが大好きなのですが、急に大人びたように見え、その差にドキリとしてしまいました。その他の子たちも見てみると、やはり春休みの間に急激にしっかりとしたように見えた子も多く、つい一人ひとりを観察してしまいました。学園の子どもたちは他の学年の子であっても、とても身近な存在に感じます。彼らの成長を感じる度に、人ごとではなく、時折思わず涙してしまう保護者はきっと私だけではないはずです。そんな子どもたちと一緒にひと時を過ごせて幸せな時間でした。
そして校庭で見つけた贈り物を大切に家に持ち帰った娘は、しばらく嬉しそうにそれを眺め、長女が帰宅した後は春祭りの話題で随分と盛り上がっていました。お天気にも恵まれ、一年間の最初の祝祭を無事に終えることができ、新しい学園生活の良い幕開けとなったように思います。毎年恒例の「小鳥パン」を焼いてくださった3年生の保護者のみなさま、ありがとうございました。(私が手にした小鳥パンは思わず製作者の方のお顔が思い浮かぶような愛嬌のあるパンでした)
(1・4年保護者 松山ちかこ)