教育の特色

2011年ユネスコスクールに認定
 世界とつながる教育

小中一貫編成の私たちの学園では、6歳〜15歳の年齢の子どもたちが学んでいます。シュタイナー教育では、この時代を豊かな感情を育む時期と捉えています。
子どもたちは、単に知識を詰め込まれ、他者と比べられる中で勉強するのではなく、芸術的な教授法を通して「世界は美しい」という喜びを受け取ることが重要です。
この積み重ねが、やがて、生涯にわたって自ら学んでいこうとする土台となっていくのです。

シュタイナー教育とは

ルドルフ・シュタイナーによって提唱されたシュタイナー教育は、子どもが意志、感情、思考において調和のとれた人間として成長することを目的とし、そのために、人間の心身の発達段階に応じた独自の教育を行っています。

0〜7歳
意志へ働きかける教育

7〜14歳
感情へ働きかける教育

14〜21歳
思考へ働きかける教育

年齢によって、意志・感情・思考に働きかけていくことによって、子どもたちはそれぞれの方法で「他者に依存せず、自立した判断ができ、物事を深いところで体験し、創造的に行動する人間」へと成長していきます。

学ぶ喜びを体験する

子どもたちの発達段階に即した内容について芸術的な方法で授業を行うことにより、子どもたちの意志の力と想像力に働きかけます。

子どもたちが感覚を働かせ、手足を動かすとき、感情が生き生きと動き始め、イメージを思い描き、そのイメージとともに考えることができるようになります。そうして、子どもたちは学ぶ喜びを体験するのです。子どもたちは調和のとれた健やかな心身を育むことができ、それこそが、将来、倫理観を伴う自由意志を持ち、自分の人生を生きていく力の基礎となります。

横浜シュタイナー学園では、点数による評定の代わりに、学年末にはそれぞれの成果と課題が表現された「文章」と「詩」による通信簿が一人ひとりの子どもに贈られます。

 


保護者の声

年度末に手渡される温かな桃色の通信簿?表紙には「みち」と記されています。
目に飛び込んできた担任の先生、専科の先生の文字文字文字にまず驚き、読んでみると、子どもの今を見ながらも、その子の先々の歩みや可能性へとつながるたねをも見据えて、愛に満ち溢れたまなざしで、本当にしっかりと一人ひとりの様子、成長を見てもらっていることに改めて心底感動し、なんて幸せなことなのだろうと胸がいっぱいになりました。

生活に息づくリズム

静と動、広がりと集中、楽しさと真摯さ、呼吸と同じように様々なリズムが授業の中に、一週間の中に、そして季節の中に息づいています。毎日繰り返されながら、何一つ同じではないことの発見の中で子どもたちは自らの成長を確かめます。 このようなリズムが、子どもを安心させ、子どもの本質である生命力を活発にし、学びの中へ引き入れます。

1日のリズム

幼児期から小学校低学年の子どもたちの環境を整えることは、保護者の役割です。
規則正しい日常生活を整えるよう、心がけたいものです。
だいたい、毎日の就寝時刻(19時半まで)から逆算して無理のない程度に夕食は何時ごろ、入浴は何時ごろ・・・、と決めておきましょう。そうすることで、子どもは、安定した心地よいリズムの中で落ち着いた日々を過ごすことができます。そして、十分に睡眠を摂れた子どもは、眠っている間に心身がリフレッシュして自然と早起きになり、1日の始まりが生き生きとしてくるはずです。

幼児期の生活から小学生の生活へと劇的に変化したとたん、シュタイナー学校では、毎朝100分間にわたる集中した授業が展開されます。身体を目覚めさせ、驚きや感動を胸いっぱいに広げ、手足を少しずつ学びに向けて適切に動かせるようにするために、リズミカルに身体を動かし、たくさんの詩を覚え、歌い、絵を描きます。そのために子どもは、これまで幼児期に使ったことのない力を要します。授業が終わると、一見元気そうに見えても、目に見えない深い部分で子どもは想像以上に疲れています。

そのような時ほど、上記のような規則正しいリズムを保ち、家庭でゆったり過ごすことが大きな助けになります。入学後の最初の1か月間、エポック授業が終わる10時半で子どもたちが下校するのも、そのためなのです。
新たな学びにワクワクしている子どもが、いつも慣れ親しんだ温かい環境でリズムのある生活を続けることができたら、どんなに安心して学び、成長することができるでしょう。

四季のリズムと祝祭

春は萌え出づる小さな生命の喜び、夏は高く昇る力強い太陽のもとで歌い踊り、秋は澄んだ空気の中で身を引きしめ、冬は暗さの中で内なる光に思いを向けます。
自然の不思議さに驚き、畏敬の念、喜びを感じる中で、自分もまた自然の中の生命ある存在であると気づきます。

4月 はるまつり
6月 ヨハネ祭
12月 アドヴェント

9年制であること

人の誕生から成人までの約21年間を7年ごとに区切って成長や発達を見ていくと、二番目の7年間(第二・7年期)がちょうど就学年齢から中学校卒業学年に相当します。
子どもは、数年ごとの成長の節目を経て、この期間に大きく変化していきます。この期間に同じ大人(担任、専科教員)が寄り添うことで、子どもの変化を見極め、その子どもに合った適切な指導を行うことができます。

 

こうして9年間守られた環境で育った子どもたちは、卒業を前にして自らの進む道について真摯に考え、答えを出していきます。「10年目以降」がない、横浜シュタイナー学園ならではのその試練が、子どもたちをまた一回り大きく成長させているようです。

 


保護者の声

12年間のカリキュラムをエスカレーター式に進むのでなく、9年の節目であらためて進路を問い直す機会を持つことを、親としてはメリットの一つとして捉えました。
子どもたちがそのときまでにどんなふうに成長しているか正直不安もありましたが、学園生活をしめくくる「卒業プロジェクト」で、先代の9年生たちの想像力と創造力をいっぱいに駆使した「成果」を見たとき、9年間で彼らの中に蒔かれた種は、この先どこに置かれても、しっかり芽吹くことができる―と実感しました。

がくえんにっし -日々の活動を綴ったブログ-