オープンデイ「子どもの部屋」のこと

2017年7月7日

今年も無事にオープンデイと学園祭が終わりました。沢山の方にご来場いただき、有難うございます。 楽しんでいただけたかどうかは来て下さった皆様に委ねることにして、今回は裏話?!を少し…。 ここ数年、オープンデイでは教員による教育紹介や個別相談室に合わせて、お子さんたちのお預かりを『子どもの部屋』で行っています。おそらく私たちの学園だけでなく、シュタイナー教育を実践する場では“子どもの環境”ということには、とても気を配っていると思います。ですから、大人のための教育紹介を子どもには聞かせたくないので、では、保育室が必要だね、という流れになっているのです。学園で行われることはなんでもそうなのですが、子どもが邪魔だからという理由ではなく、子どもにふさわしいか?ということで色々と進むのです。 さて、手前味噌になってしまいますが、この『子どもの部屋』は毎年素晴らしいです。はじめて来た場所で子どもたちが少しでも安心していられるように優しい空間になっています。床にはゴロンとできるようなマットもあり、子どもたちはその上で教師が語る素話を聴きます。この日の為に、教師は小さな子のための素話をまた思い出し、(きっと練習をして?!)臨んでいます。傍らで見ていると、ポカンと口を開けた幼子たちがメルヘンの世界へ入っていく様は、なんとも言えず幸せです。 もちろん中には、お母さんと離れて泣き出す子もいて、スタッフは抱っこをしながら寄り添います。それでも涙が止まらない時は、お母さんには受講を諦めてもらっています。いつでも子どもを中心に!というのが、私たちの願いです。 さて、では私たちがオープンデイの準備や仕事をしている時、学園の子どもたちは…というと、その子たちもまた楽しく1日を過ごせるように企画をしてくれる保護者がいたり、お家で預かってくれる保護者がいたり、そこでもまた子どもたちのことを考えて動いてくださる大人がいるのです。特に低学年の子には、1日のお預かりは負担になるだろうから、半日にしましょうね、というような配慮もあります。 我が子だけでなく、子どもたち全体のことを一生懸命考える大人がここにはたくさんいるんだなという事を改めて思ったオープンデイです。 (学園公開グループ 藤好千晶) オープンデイギャラリー

6/2「ぐるっと探訪会」に参加しました

2017年6月27日

毎年この時期になると、新入生保護者を対象に学園周辺を散策する「ぐるっと探訪会」を行っています。 子どもたちが授業でも度々訪れ、豊かな自然と触れ合える格好の“学び場”を、保護者も歩いてみよう、という企画です。 参加した保護者の感想です。 この日の天気予報は、最高気温29度、晴れ。 暑いのも歩くのも苦手な私にとっては、なかなかの悪条件。通常であれば迷わず不参加を選ぶのですが、現在3年生の娘が1年生だった時、このイベントから帰ってきた方々のお土産話を語るさまがとても充実した様子で、次の機会には絶対参加しよう、と2年間楽しみにしていたのです。 萱場公園を突っ切り、グリーンタウンを進んでぷかぷか周辺、ログハウス。その先へ行くのは初めてです。 団地、団地、どこまで続くのか、と想像以上に長いグリーンタウンを抜けたと思うや若葉台団地が目前に登場。こんなに近いとは。この一帯がニュータウンだった頃を空想したりしていると突如、景色が一変。 遠くまで広がる空と地面の境に、もくもくの夏雲ともりもり茂った緑。とても住宅地に隣接しているとは思えないスケールの風景が広がるそこが、学園の畑があるところでした。 電線の黒筋が入らない広い青空の下、畑に向く意識を邪魔するような看板なども視界に存在しません。環状4号沿いの校舎から程よい距離にこんな空間があるなんて。学園のこどもたちにはこれが当たり前のものとして与えられている。良い学校だなぁ。とあらためてかみしめました。 その後、乗馬クラブのカフェで休憩し、新治の森へ。 私はそれまで入り口付近に数回入った程度で、ちゃんと進入するのは初めてでした。 鳥のさえずりが住宅地で聴くよりもずいぶんのびのびとした歌声だったり、かつ人間の畑があったり。 私の故郷は北海道札幌で、自然は多いのですが、人間のエリアと自然エリアがはっきり区別されています。原生の自然は神秘的で、アイヌ語の名前が付いていたりして、深入りしてはならないものという印象で、全く親しめる存在ではありませんでした。人と自然が共生する里山、とは逆の性質の自然です。なので例えば昔話の「おじいさんは山へ芝刈りに」と聞いても、自然と人との関係が近すぎて理解が及ばない謎の設定だったのです。 なるほど、昔話の山はこんな里山だったのか、と長年の謎をようやく解明しながら、日本の自然観はこんな感じなんだなぁと初体験しながら、やっぱり北海道は本質的に日本じゃないなぁと考えたりしながら、新治の森を歩きました。 校舎外の学びの場をめぐるこの会は、要所要所での学園事務局長(※広報の会注:ガイド役として同行しています)による補足情報も合わせ、こどもたちがどんな環境で学んでいるか、そしてその魅力を体感出来る、素晴らしいイベントでした。 さらに、乗馬クラブでのお茶とケーキ、旧奥津邸でのお弁当、たくさん歩いて着いた休憩場所がどちらもご褒美にふさわしい素敵な場所なのも嬉しく、始まりから終わりまで満ち足りた時間を過ごすことができました。 参加して良かったです。 (1・3年生保護者 笹本知子) 10月7日(土)には、一般の方向けの「学園周辺ぐるっと探訪会」を開催します。詳細は後日WEBサイトに掲載します。ふるってご参加ください。 (広報の会)

学園祭直前突撃インタビュー

2017年5月31日

いよいよ6月10日(土)オープンデイと学園祭を開催します。 高学年学園祭は中学1~3年生にあたる7~9年生生徒たちによって行われます。 歴代最高人数となる今回、新しく入った7年生もすぐに溶け込んで一緒に準備に打ち込んでいます。 【学園祭実行委員長:海老塚侑希】 今年のテーマは「Let‘s Enjoy!~今を輝け未来へ向けて~」です。 これは自分たちが楽しむということだけではなく、楽しみつつ新しいことをやっていこうという思いを込めてつけました。今回新たな試みとして、発表の演目に「合奏」「個人発表」が加わりました。 また、それぞれの出し物でも新しい内容を工夫しています。 発表の会場となるオイリュトミー室では、この学園の良さを知ってもらおうと「部活紹介」や生徒アンケートによる「今までの学校生活の感想(学園祭の感想含む)」の展示を行っています。 内容の説明や質問に答えるための担当も決めて対応しているので、たくさん見に来てどんどん質問してください。 【カフェ:Sweets Travel】 1つの小さな部屋でスイーツを食べて旅行しているような気分になっていただけたらと思います。 はじめて担当したメンバーも多いですが、みんなで協力し合って頑張っています。 今年は新しくテーブルクロスを9年生メンバーで手作りしました。 カフェメニューと共に、どうぞ素敵な空間をお楽しみください。 【縁日:水蓮】 名前の由来は6候補の中から多数決で決め、はじめは「蓮(はす)」にしようと思っていましたが、響きの良さから「水蓮(すいれん)」に決めました。 新しいゲームが増え、景品も進化しています。新しく入った7年生も一緒に和気あいあいと景品づくりを頑張って準備しています。皆さんのお越しをお待ちしています。縁日で楽しい一時をお過ごしください。 【ダンボールワールド:新生ダボルニア帝国】 名前の由来は奥が深く…ないですが、浮かばなかったので辞書で色々調べているうちに「新生」という言葉が気に入り、「ニカラグア共和国」…いいんじゃない?ニカラグア、ニカラグア…ダボルニア?!「共和国より『ローマ帝国』に因んで“帝国”の方が良くない?」という意見が集まって決まりました。 とにかく昨年とは違ったものにしたい!という思いで色々趣向を凝らしています。 今まではクイズ形式だったポイントをアトラクション形式にしました。 また、今年ははじめて女子がメンバーに加わり、景品も進化しています。これまでダンボールだけで作成していた景品ですが、女子の提案でペーパークラフトも加わりました。女子が入ったことで、準備中も男女ともに交流して面白く、みんなで仲良くやっています。 (取材:広報の会 高橋恵美)

校内見学会を開催しています

2017年5月26日

5月21日の校内見学会は、日曜日の夕方という時間にもかかわらず、 たくさんの方の参加がありました。 まずは、霧ヶ丘校舎のオイリュトミー室でご挨拶と簡単な説明をし、 その後、事務局長と教員、保護者運営委員とともに、 ガイドツアー形式で1時間ほど回りました。 今回は日曜日の開催でしたので、担任教師も加わりましたが、 通常は平日放課後の開催が多く、各教室を回ると、大抵は片付けや授業準備をする担任教室が居合わせるので、授業の話などを聞くことができます。 上の写真は、2月の見学会の様子です。 2年生教室では、黒板を見ながら、ちょうどその日に学んでいた聖人伝の話や、 文字の学びの進め方などを聞くことができました。 3年生教室では、「重さ」を学んだ後の片付けをしていた担任が、その日の学習に使った道具などを見せながら子どもたちの様子を聞かせてくれました。 校内を巡りながら、参加者の皆さんは自然な雰囲気で質問などもされていたようです。 校内見学会は、学園の普段の雰囲気を肌で感じることができ、 教職員や保護者と、近い距離で話ができる機会です。 ぜひご参加ください。 校内見学会の日程はWEBサイトでご確認ください。 校内見学会のおしらせ

春まつりを参観して

2017年4月29日

15名の1年生、ドキドキワクワクの初登校日に、春まつりが開催されました。 新入生保護者のレポートです。 入学式を無事に終えた週明け、4月17日の初登校の日。数日前から、ずっとお天気が気になっていました。晴れますように!せめて雨にはなりませんように…と心の中でひそかに願いつつ、当日の朝を迎えました。朝からしっかりと顔を出してくれたお日さまは、1年生の初登校を優しく見守ってくれているようでした。 「今日は何をするんだろう」と、娘は緊張のあまり固く握りしめた手を離すことなく、教室の前で私にしがみついて泣いていましたが、「大丈夫!楽しんでおいでー」とにっこり送り出しました。 「1年生の保護者の方、そろそろどうぞー!」とお声がけいただき、向かった校庭では、すでに2、3、4年生が集まっていて、手作りの小鳥さん、うさぎさん、ひよこさんを、草陰や花壇、木々の間などに隠し終えたところでした。 隠された宝物を、嬉しそうに何度も確認する様子がとても微笑ましく、在校生のわくわく感が十分に伝わってきました。しばらくすると、5年生と手をつないだ1年生がやってきました。みんな少し緊張の面持ちで、先生の説明を聞いています。 そして、いざ宝さがしです。おにいさん、おねえさんに導かれながら、みんな真剣に花壇を覗き込み、そっとかき分け、木の後ろにも回り、探します。あちこちで、声が上がり、和やかで楽しげな様子が、見ているこちらまでも暖かな気持ちにさせてくれました。 みんなの宝物がみつかると、1年生から5年生まで先生方を含めて全員で手をつないで大きな輪となり、大きな家族のようにつながりました。校庭に優しく軽やかに流れた歌声は、春の暖かな陽射しのもと、いま始まったこの学園での日々を安心で包んでくれているようでした。 入学式に続き、こんなにあたたかな雰囲気に包まれて1年生を始められることは、なんて幸せなことだろうと思わずにはいられませんでした。私も保護者として、これからひとつひとつを子どもとともに経験し、学び培っていきたいと思います。準備をしてくださいました先生方、保護者の皆さん、在校生の皆さん、ありがとうございました。 春祭りの間中、緊張が解け切らずに笑顔の見られなかった娘ですが、お持ち帰りでいただいた手作りの美味しい小鳥パンはお昼ごはんに添えて、そして夜は、今日連れて帰ってきた羊毛のうさぎさんをそっと抱いて、小鳥さんとひよこさんを枕元に置いて、眠りにつきました。 (1年生保護者 高旗晶子)

2017年度スタート

2017年4月17日

4月12日(水)、満開の桜の下、横浜シュタイナー学園の新年度がスタートしました。 今年は、桜の開花後に気温の低い日が続いたため、15日(土)の入学式まで花は持ちこたえ、まるで15人の新1年生を桜吹雪で祝福してくれたかのようでした。 にっこり満面の笑みの子も、緊張でお母さんの手をぎゅっと握る子も、担任の伊藤先生と初めて対面し、握手を交わして、学びの入口へと導かれていきました。 広報担当として入学式の光景を写真に収めながら、ふと、3月に巣立っていった4期生のことを思いました。それぞれ1年生としてどんな日々を過ごしているかしら、と。そして、小さくて可愛らしい目の前の新入生たちも、9年かけて彼らのように立派な若者に育っていくのかと、その姿を眩しく見つめました。 (広報の会 中島美穂)

3月17日「修了の会」を終えて

2017年3月30日

一学期ごとに各学年の子どもたちの学びを披露する月例祭が、三学期末は「修了の会」と呼ばれ、今年度は旭公会堂で執り行われました。その日は9年生の卒業を祝う会もあるということで楽しみに会場へと向かいました。 娘のいる1年生クラスは、一学期の頃は先生の後を木笛のリズムと共について歩き、「きゃっきゃっ」、「うふふ」、と言いながらもそれなりにやっていて、とにかく可愛かったのを覚えています。当時は、小学生に上がってからの生活に慣れるのに親子共々必死でしたが、月日を追うごとに子どもの成長を感じるようになりました。 恥ずかしがり屋で、注目されることが苦手な娘が、二学期末の月例祭が始まる前に「私のことを見ててね!」と話した時には、とても驚きました。あまりの突然の変化にただただびっくりしたのでした。 三学期末の修了の会では、1年生が「朝の挨拶」を唱えている時、一つひとつの言葉がはっきりと聞こえ、そして力強く響いていました。どの子も集中していて、よくあのような大きなステージの上でいつものように振舞えるものだなと、感心しました。 各学年の発表でも、それぞれの様子を垣間みることができ、学年が上がっていくごとに美しさや格好良さが増していきます。他の学年の子たちの発表は、子どもの将来の姿を想像するようで、親の私にとってはいつも励みになっています。 9年生5人によるオイリュトミーの発表には、その吸い込まれるような美しさに釘づけとなりました。目を離そうとしても、離すことができない。そんな体験は、私がこれまで生きてきた中でもそう多くはありません。 最後に9年生の代表の子が全体に向かって挨拶をしている時、自分の言葉でしっかりと話をしていて、飾らない姿にとても好感を持ちました。 その中に、「色々ありまして、今は5人ですが…」という話がありました。入学当初より人数が減ってしまった、という内容でした。それを聞いた時、以前参加した公開講座(「一年生になるということ」)での、長井先生の言葉を思い出しました。 「シュタイナー学校では一人の担任が1年生からずっと見ているので、その子に何かあった場合、“点”だけでなく、点と点を結ぶ“線”や“面”でその子の様子を見ていく」というようなことをおっしゃっていたのです。それは「9年間ずっと関わっていくからこそ、できること」という話は、とても心に残り、そして入学の大きな決め手ともなったものでした。なので、9年生の姿を見ながら、長井先生の言葉がより深く、確かなものとして自分の中に入っていったような気がします。 また、担任の先生はもちろんのこと、専科の先生方、そして周りの保護者たち(おそらく会場にいた多くの人たち)がそうしてこの子たちを見守ってきたのだろうなと思うと、「ここの子どもたちは幸せだな」と心から思います。  一年を終えたばかりの私たちに、これからどんなことが待っているのか、まだ想像ができませんが、信頼する先生方や心強い保護者のみなさんたちと過ごせる日々に感謝して、子どもたちと一緒に成長できるようにと願っています。 (1年生保護者 松山ちかこ)

8年生劇「十二夜」を振り返って

2017年3月15日

2月3日と4日、鶴見公会堂で横浜シュタイナー学園の8年生劇を行いました。 これまでの学びの集大成ともいうべき8年生を担任教師が振り返りました。想いの込もった長編です。どうぞお読みください。(広報の会) 1学期の終わりに本を決め、2学期から本格的に準備と練習に取り組み始めた8年生劇。その全体を振り返ってみると、改めてこの8年生劇が今まで学んできたことを活かした総合芸術であることに気づく。 劇の取り組みを念頭におき、1学期は朝のリズムの時間に特に朗誦に力を入れた。題材は、『走れメロス』。生徒たちも、すでに今年度は劇をやるということ、2月にその発表をするということが分かっており、朗誦に取り組む様子はとても意欲的だった。いかに感情をこめて言葉を言うか、そして、はっきりと聞こえる声を出すかということに意識を向けた。クラスのほとんどの子が、劇を楽しみにし「成功させたい」「達成感を味わいたい」という気持ちを持っていることがひしひしと伝わってきた。もちろん、生徒たちの中には劇は苦手という子もいたが、その子の様子も2学期に入るとだんだんに変わっていき、前向きな姿で練習に取り組み自ら動作の工夫をするようになった。 8年生劇の意義は、その年齢の心理的発達段階に合った目的、すなわち登場人物の人生の一部を感情とともに表現するということにあるが、同時にクラス全員で一つのものを創り出すことにもある。それぞれが自分の力を出し協力して劇を創る過程にこそ、生徒たちを成長させるものがある。役作りをし演ずる中で、担当する仕事を友だちと話し合い行っていく中で、生徒たちは内的にも葛藤を経験する。自分のことだけを考えるのではなく、自分の欲に打ち克つ必要もあり、皆で一つのものを創るということがどういうことであるかを生徒たちは学ぶのだ。 2学期になって劇の準備を始める前にクラスで話し合ったことは、何を大事にしていきたいか、劇創りを通して何を目指したいかということだった。そこでまず出てきたのは、「輪」を大事にしたいということ。それをより分かりやすく言うと、劇作りは「チームワーク」であること、大変さも嬉しいことも皆で「分かち合い」そして「信頼」しあえるようにという意味だと、意見がまとまった。 それから、いよいよ本読み、配役、係分担、練習、準備といろいろな活動が始まった。その中では、辛さや大変さを体験したり、気持ちを切り替え前向きに仕事に取り組んだり、友だちどうし励まし合ったりする生徒たちの姿が見られた。劇創りが進んでいくと、一人ひとりが自分の仕事を責任もって行っている様子、楽しそうに大道具や小道具を作る様子が見られるようになった。小道具係も大道具係も作業計画を立てこつこつと作業を続けた。小道具は剣や財布や槍などたくさんあったが、放課後残れる日は必ず誰かが残って丁寧に作業をしていた。大道具係も小道具係同様、誰かが必ず残って作業を続けた。しかし、大道具の作業は作る衝立の数も多く大道具係3人ではとても大変だった。そこで、それに気づいた他の係の生徒たちも自主的に大道具係の作業を手伝うようになった。衣装係の生徒たちは、放課後、先輩たちが作った衣装を倉庫から出してきて、どんな衣装があるか確認する作業を自主的に行い、各役の衣装をデザインする作業を私や柳本先生に相談しながら行った。音楽係は楽譜集や鈴木先生がくださった楽譜から前奏曲や、場面転換の際に演奏する曲を選び、誰がその曲の演奏を担当できるかも考え分担表を作った。図書館に行ってシェイクスピア劇の音楽についての本から、『十二夜』で使われた曲を見つけてきた子もいる。そして、劇の最後に歌う曲を合唱曲に編曲したのも音楽係であり、それも、そのほうがいいと思った生徒が自ら行ったのだ。広報係の活躍も素晴らしかった。メンバー4人とも、広報の仕事が好きなのがよく分かる仕事ぶりで、それぞれが書いてきた原稿はどれも丁寧に考えられたものだった。実は、当日配るプログラムを印刷した際、よく写っていない箇所や印刷範囲の外になってしまい抜け落ちた文字もあった。私は残念だがしょうがないと思ったのだが、本番の前日に自主練習をするつもりで放課後残っていた生徒たちのうち一人が、どうしても写っていない箇所を書き加えたいと言い、他の子たちもそれに賛同して350部すべてに手を加えた。その作業はそこにいた生徒たちの見事な連携でやりとげられた。 また、冬休み前に皆の劇に向かう意気を高めるためにも、皆の団結のためにも是非合宿をやりたいという声があがり、生徒たちの立案でそれが実施できたのも彼らの自信につながったであろう。 最後に、演技練習の様子にも触れておく。生徒たちは、それぞれの役について生い立ちを想像し、それぞれの人物がいろいろなことを経験したうえで今この舞台にいるのだと考えるようにした。そして、舞台袖でも彼らの生活は続いているのだと思うよう促した。練習の中では、お互いに気づいたことを言い合ったり助言し合ったりする時間をとった。すると、皆が熱心に友だちの演技をみて率直に意見を出し合う様子が見られ、一人ひとりがよりよい劇にしようと思っていることが感じられた。 特に私の印象に残っているのは、演技をするのが苦手な生徒がとても前向きに練習に取り組み、素直に助言を受け入れ、声も大きくなり自ら動きの工夫をするなど変わっていったことだ。そして、一緒に演技をする友だちが、練習の度に心から「すごくよくなったよ。いい!」と賞賛の声をかける姿を見たとき、私にはそのやりとりが本当に嬉しかった。 そして、何より私が嬉しかったのは、舞台の上で全員が輝いていたということ、一人ひとりの存在がはっきりと感じられたということだ。特に、台詞がないときの演技はとても難しい。舞台で劇をしたことのある方ならお分かりだと思う。台詞がなくても、その人物の生活はそこにあるのだから、必ずその人物の物語があるのだ。それを演ずるためには、その人物は何を考え、何をしようとしているのか想像力を働かせなければならない。劇『十二夜』の中で、生徒たちは台詞がなくてもそこに自分はその人物として生きているのだということを心に留め、その人物として演じていた。だからこそ、舞台上の演技に深みが増すとともに、皆が舞台の上で存在感をあらわし輝けたのだと思う。 私が一番気に入っているのは、第5幕でヴァイオラ(シザーリオ)の双子の兄セバスチャンが現れる場面だ。ヴァイオラとそっくりなセバスチャンの登場に、舞台の空気が変わるところ。舞台上の人物たちがその二人を見て驚きを隠せない、その意識を皆が持つだけで空気が変わる。それができる生徒たちを見て、「これはオイリュトミーのおかげ?」と内心思ったのだ。 このように8年生劇を振り返ったとき、生徒たちは自分たちが劇を創るのだという気持ちで活動していたことを思い出す。私に促されてやるのではなく、彼らは自分たちの内からの熱意で動いていた。これこそ、シュタイナー学校の生徒という感じだ。 (8年生担任 神田ひとみ)

オイリュトミーを始めませんか?「大人のオイリュトミー」講座

2017年2月15日

学園では、月に2回、どなたでも参加いただける「大人のオイリュトミー」講座を開催しています。 Aコースは「健やかな体作り」と題して学園オイリュトミー教員の猿谷利加先生が、Bコースは「音と一緒に体を動かす」オイリュトミーを大西敬子先生が担当しています。 2月13日に開かれたAコースには、保護者だけでなく一般参加の方も交え14名の方が来ていました。すでに26年も(!)オイリュトミーを続けている方から、オイリュトミーを見たこともなかったけれどもお友達に勧められて2回目の参加という方まで、様々です。 最初に湯たんぽで足を温めることの良さを体感し(普段先生は、体が冷えている子どもを湯たんぽで温めてあげることがあるそうです。)、リラックスした雰囲気の中でクラスは始まりました。 基本の“I、A、O(イー、アー、オー)”は自分の中心をしっかり意識して、Mの動きではペアになって相手を感じる、Bは子どもの覆いを守るのにとってもいい、など猿谷先生の丁寧な説明を聞きながら、時には幼稚園の子どもたちがやっているという動きにも身を委ねていきました。自分自身と、他者の気配も意識しながら、その場の空気がベールのようなふわっと心地よいものに変わっていくような感じがしました。次第に外の寒さで冷えていた体が、手足の先までポカポカと温まります。 レムニスケート(∞)をクロスさせた四つ葉の形を4人で動くなど、なかなか難しい動きもありました。歩く方向を間違えたり、時折お隣の方とぶつかったりしながら、月例祭での子どもたちのオイリュトミーを思い出し、美しく複雑なフォルムを何気なく動いている子どもたちってなんてすごいんだろう!と実感しました……。 クラスが終了した後、何人かの方に、感想をお聞きしてみました。 *オイリュトミー歴26年/男性 やればやるほど、音楽や言葉の体験が深まる。ある程度のレベルに達したかと思っても、まだまだ先があってやめられない(笑)。オイリュトミーをすると、心身の状態が良くなる。魂が洗浄されているような感じ。お父さんたちもぜひやったほうがいいと思いますよ! *オイリュトミー初体験/女性 これまでオイリュトミーは見たこともなかったが、友人にとても良いからと薦められて来た。今日で2回目の参加。“自分”を感じる体験だと思う。やっているとなんだか嬉しくなってきて、自然に笑ってしまう(笑)終えた時に体が軽い感じがする。 *経験者/女性 子どもが幼稚園の時から各所で月に1度ぐらい参加してきた。オイリュトミーをすると心身ともに整うというか、芸術的な整体、みたいな感じ。不思議と意欲が湧いてくる。仕事が忙しい時こそ頼りにしていて、やったほうが元気になる。 *1年生保護者/女性 書籍や講義ではシュタイナーの教えを頭で考え、オイリュトミーはシュタイナーの教えを体で行動する面白さがあります。なかなか思うように動けないものです。猿谷先生が仰る「オイリュトミーを通して、個体で表現することで我(個)を強くもち、全体で動くことでソーシャル力を養う」ということを体で体験できます。 *学園数学部顧問/女性 校舎内のオイリュトミー室で、保護者の方達と一緒にできるのが嬉しい。猿谷先生が、日々の子どもたちの様子も交えて話してくれ、子どもたちの成長に対するオイリュトミーの役割を知り、体験できるのがとてもいい。オイリュトミーでは様々なフォルムを動くが、手でフォルムを描くフォルメン線描の体験講座もあったらぜひ参加してみたい。 以上、みなさんとても楽しそうに、積極的に感想を伝えてくださいました。 大人のオイリュトミーは今学期は2月20日(月)で最後ですが、来年度も開催します。ぜひ始めてみませんか?初心者の方も多く、丁寧に指導してもらえますので、お気軽にどうぞ。 今期クラスの詳細はこちらに掲載されています。また来期の予定もわかり次第学園サイトに情報が掲載されますので、ご確認ください。 (広報の会 中島美穂)

ユネスコスクール セネガル研修報告

2017年1月27日

ユネスコスクールとして認定されている横浜シュタイナー学園は、昨年9月、文部科学省委託事業・ESD(持続可能な発展への教育)重点校形成事業の全国24校に選定されました。 さらに、日本国内から選出される10 校のうちの1校に選ばれ、「気候変動を切り口にしたホールスクールアプローチ」という旗艦プロジェクトに参加する事になったのです。その10校の中から、学園ともう一つの学校(名古屋国際中・高等学校)が代表として11/21〜23にセネガルで研修を受ける事になり、出かけてきました。お陰様で、無事研修を終え生還いたしましたので以下エッセンスをお伝えしようと思います。 この研修自体、降ってわいたようなお話だったのですが「とりあえず黄熱病の予防接種だけ受けておいて下さい!」と言われ、出発の日程が確定したのがフライトの10日前、というバタバタのスケジュールでした(ちなみに、黄熱病の接種証明書は黄色くて“イエローカード”と呼ばれています)。セネガルは遠かった……。乗り継ぎを含め27時間以上のフライトを要する日本は、参加12ヶ国中もっとも遠い国でした。今回の参加国は日本、インドネシア、レバノン、オマーン、セネガル、ナミビア、ギリシャ、ドイツ、フランス、デンマーク、ブラジル、ドミニカ共和国です。インドネシアの先生が「時差のせいで午前2時に目が覚めて、そこから寝付けないんだよね。」とおっしゃるので「日本組は午前1時なんだよね。こっちの勝ち!」などと冗談をかわしつつ、各国の先生方と3日間みっちりの研修を共にしました。 内容はというと、気候変動そのものについての解説といったレクチャーはほとんどなく、メインは「ホールスクールアプローチ(英語ではwhole institute approach )をいかに実施していくか」でした。つまり、学校のあらゆる側面にESD及び気候変動の視点を浸透させる、というのが今回のプロジェクト参加校の目指すところという訳です。学校統治(理念)・授業や学び・学校施設や運営・地域との連携といった4つのカテゴリーのひとつひとつに、どのよう な取り組みが可能なのか、レクチャーもてんこ盛りでしたがブレインストーミング、ディスカッション、ロールプレイを交えてイメージを共有していきました。 このホールスクールアプローチ、学校の風土自体を持続可能な社会を志向したものとする、と言い換えてもいいと思います。学園はすでにその方向性にあるので、親和性の高いプロジェクトだと言えます。 ただ学園の課題としては、ESDはまだしも「気候変動」を具体的にどのように扱っていくのか、私にもまだはっきりと道が見えていません。各国のプロジェクト参加校 10 校には、国を越えて活動を発信してほしいこと、可能であれば海外の他の学校とパートナーシップを組むなど共同プロジェクトも模索してほしいことなど、ユネスコ本部からは期待が述べられまし た。このためにOTA(ユネスコ本部が作ったオンラインプラットフォーム)を最大限活用してほしいようです。OTAには、気候変動について授業で使えるような良質の教材も複数載せてあるそうです。 今回の研修で、一番の収穫は各国の先生方といろんな話をして仲良くなれた事です。研修が終わるころ、ギリシャの先生が「研修明けの日にゴレ島(かつて奴隸貿易の拠点となった島で、世界遺産)ツアーに行きたい人?」とみんなに声をかけてくれ、私たち 20 人ほどがミニバスで観光に出かけました。そこでの先生たちの振る舞いにもお国柄や個性があふれていて面白かったのですが、その話はまたいずれどこかで。 さて、私には今回の研修の内容を精査して、国内の 10 校(セネガルに行った私たち 2 校を除くと 8 校)の先生方に同様の研修を行うという仕事が残っています。1 月 28 日(土)と日程も決まったので、これから内容を組み立てたいと思います。 (英語専科 ユネスコスクール担当教員 内村真澄) ※12月16日発行「学園だより」から転載しました。