3年生 稲刈り

2019年10月13日

厳しい残暑の中に、ようやく秋の訪れを感じ始めた9月末。3年生は、稲刈りに行ってきました。  春に自分たちの手によって植えた苗は、自然の恵みを受けてすくすくと順調に成長していました。  しかし夏休みが明けてすぐ、あの各地に猛威をふるい、甚大な被害をもたらした台風15号がやってきたのです。そしてその台風は、3年生の田んぼにも、やってきました。  9月初めにドイツで行われたシュタイナー教育100周年・教員研修大会から帰国した翌日、3年生担任の伊藤先生は、疲労も時差ぼけもそっちのけで田んぼに駆けつけ、すべてが横倒しになった稲をひたすら起こし、もうひとりでは立てない稲たちを、数束ずつ集めては束ね、集めては束ね、水や泥から引き上げ、稲たちがお互い支え合って、今この状況を持ちこたえる手助けを必死にしてくださいました。  「大丈夫!頑張って!」と稲に声をかけながら、時には元気になる呪文も唱えながら、ここで稲がだめになってしまわないように、3年生の子どもたちが稲刈りに至れるように、精一杯を尽くしてくださいました。  本来ならば、10月半ばまで刈り取らずに、たくさんのデンプンがお米に送られるのを待ちたいところでしたが、泥がついた稲から芽が出てきてしまわないうちに、稲刈りをすることになりました。  さわやかな秋晴れの日。  3年生は稲を育て守ってくれた、田んぼに、森に、里山に住む大鷹に、感謝を伝え、稲刈りを始めました。  数束ずつランダムに束ねられた稲は、整然とは並んでいないけれども、なんだか力強くたくましく、がっちりと支え合い、それでも美しい稲穂を垂れ、個性を尊重された中で互いを認め手を取り合うまさに3年生クラスのようでした。  ほとんどの子にとって稲刈りは初めての経験で、側から見ていると、鎌を持つ手と刃先の行方にどきどきしてしまいましたが、どの子もまるで初めてのことではないかのような落ち着きと、手つきで、お互いに声を掛け合い、稲刈りが進みました。田んぼの泥の中を移動するのは容易なことではないだろうに、細い畦道も、しっかりとした足取りで、みんな軽快にそれぞれ分担された作業をしていました。みんな手がとてもよく動くと感じたのは、普段からよく手足を使い、体に働きかけているからでしょうか。  どの子も集中して立ち働く姿は、とても美しかったです。  刈り取られた稲は今、校庭ではざ掛けされています。  今だけは、残暑の最後の強い日差しが、稲にたっぷり降りかかることが何よりありがたく感じています。 (3年生保護者 高旗晶子)

10/6(日)開催「FAMILY DAY フリマ&ワークショップ」

2019年10月4日

朝、カラフルなベンチには、小さな弟たちが楽しそうに腰掛けていました。 そこに登校してきた学園の子どもたちも寄って行き、送ってきた親たちはその光景に思わず笑顔になります。 色鮮やかなベンチが置かれたことで、朝の風景がいつもよりちょっと華やかになる、そんな印象を受けました。 横浜シュタイナー学園は、今年、みどりアートパークの文化支援パートナーとなり、緑区制50周年記念事業「midori art diary」に参加しています。その一環の「まちかど動物園アートベンチ計画」では、動物をかたどったベンチを、それぞれ拠点が趣向をこらして自由に装飾し、“アート作品”にして設置しています。 この企画を考えた、みどりアートパークの大谷浩之介さんの目的は、「このベンチが目を引き、道行く人が座ってくれれば、緑区で活動している団体のことを知ってもらえ、つながりが生まれ、街が楽しくなる。」というもの。学園も地域の仲間として、こうしたイベントに参加できることを嬉しく思っています。ご近所の方や、通りがかった方たちにも、ぜひ座っていってほしいです。 学園では、高学年の子どもたちが色を塗ってくれ、それを霧が丘校舎の前に置いています。教室と同じシュトックマーの絵の具で塗っているところが学園ならでは。ペイントをお願いした時は、中学生が協力してくれるだろうかと思いましたが、先生によると、思いのほか楽しんで取り組んでくれたそうです。にじいろのうさぎが斬新!大人じゃこうはいかないよな〜と、彼らの柔らかさがちょっと羨ましくもなりました。なかなかの感性です。 10月6日(日)には、霧が丘校舎で「midori art diary 〜FAMILY DAY フリマ&ワークショップ〜」も開催します。手作りアートワークショップやフリーマーケット、小さなおはなし会など、お子さんといっしょにゆったり楽しんでいただけるイベントです。学園の子どもたちが色を塗った、にじいろうさぎのベンチにもぜひおかけください。 そして10月12日(土)には、この企画のクロージングイベント「みどりアートパークオープンデイが行われ、学園はワークショップで参加します。会場にはそれぞれの拠点でつくったベンチが並ぶそうで、その光景も楽しみです。 (5・8年生保護者 中島美穂) 「FAMILY DAY フリマ&ワークショップ」 日時:2019年10月6日(日)10:00~14:00 会場:横浜シュタイナー学園 霧が丘校舎 TEL:045-922-3107 参加費:無料 https://yokohama-steiner.jp/?p=13694 「みどりアートパークオープンデイ」 日時:2019年10月12日(土)10:00~17:00 会場:みどりアートパーク(横浜市緑区長津田2-1-3) http://midori-artpark.jp/detals/000182.php

夏休みボランティア工事 その2 〜校庭の塀 編〜

2019年9月26日

横浜シュタイナー学園の創設時、わたしたちは校舎改修の多くの部分を保護者、教員、そして学園づくりに興味を持つ友人たちの手による「ボランティア工事」で賄いました。 この伝統は、2011年から使っている十日市場校舎の立ち上げ工事でも生かされました。 ここ数年は大がかりな工事はお休みしていましたが、今年の夏にはその横浜伝統のボランティア工事が復活しました! 平日はあまり学校にかかわることのできないお父さんたちが休日を割いて集まり、「ああでもない」「こうでもない」と議論しながら工事した結果の玄関たたきと校庭の柵は、子どもたちの日常生活に大きく貢献することでしょう。 猛暑のなか、熱気に満ちた工事の報告をお読みください。 その1〜玄関たたき編〜に続く、その2〜校庭の塀 編〜です。 (ボランティア工事担当教員 長井麻美) この夏にボランティア工事の一貫として、お父さん有志で、フェンス工事を行いました。その報告をさせて頂きます。 思い起こせば、半年前にフェンス工事のお話が、スタートしました。 どんな形が良いか思案しているところ、建築家の村山雄一先生からアドバイスをもらい、フェンスの上を波形にするスケッチを頂いた事から、波形案になる事になりました。 そこから何度も材料の検討を行い、ビバホームにも通い検討をしてきましたが、最終的にはあるお父さんから、良い材木屋さんを紹介頂き、良い材木を適当な価格で、手に入れる事が出来ました。 柱材はハードウッドのセランガンバツ材 横桟はウエスタンレッドシダー 板材はオビ杉 を採用しました。 塗装はキシラデコールのウォルナット色で仕上げています。 これで、自然素材を使っていながらも10年程度の耐久性は確保出来ると思います。表面も数年に一度塗装し直せば耐久性は向上すると思います。 作業は8月3日.4日.12日の3日間で完成しました。 1日目 買い出し班、基礎穴掘り班、塗装班に分かれて作業を行い、途中から木材カットもこなしました。暑い中ながらも順調に作業が進み、目標の柱を立てるところまで、完了しました。 2日目 主に板材のカットと塗装を行い、一日目で明らかになった基礎の補強も行いました。2日目もどんどん手際が良くなり、板材の塗装も完了し、1スパン分だけ試験的に貼って見ました。 ここまで出来た事から予定していた11日は取りやめ12日に完成させることとなりました。 3日目 この間台風が3つも発生し、作業ができるか心配されましたが、当日は明け方さっと雨が降りましたが、作業中は良い天気で作業をする事が出来ました。 最終日は板材を貼るだけの作業でしたが、目地の間隔を1mm単位で調整して、綺麗に割付が完成しました。 完成したフェンスを見て頂ければ分かるのですが、綺麗に波形にするために、4m×9cmの板材を如何にロスなく割付するかをオヤジメンバーで議論し、最終的に導き出した結論となっています。見事端材を出さずに割付したフェンスをご覧下さい。 改めて学園のお父さんの力の凄さを感じる工事でした。協力頂いた皆さまにお礼申し上げます。 最後に学園がこの住宅に囲まれた環境で、元気な子どもたちを育んでいくためには、物理的にフェンスで仕切るという事以上に、この学園を気持ち良い空間にするために、近隣の方々へのより一層の配慮をしていきたいと思います。 (3・6年生保護者 坂田辰男)

夏休みボランティア工事 その1 〜玄関たたき編〜

2019年9月16日

横浜シュタイナー学園の創設時、わたしたちは校舎改修の多くの部分を保護者、教員、そして学園づくりに興味を持つ友人たちの手による「ボランティア工事」で賄いました。 この伝統は、2011年から使っている十日市場校舎の立ち上げ工事でも生かされました。 ここ数年は大がかりな工事はお休みしていましたが、今年の夏にはその横浜伝統のボランティア工事が復活しました! 平日はあまり学校にかかわることのできないお父さんたちが休日を割いて集まり、「ああでもない」「こうでもない」と議論しながら工事した結果の玄関たたきと校庭の柵は、子どもたちの日常生活に大きく貢献することでしょう。 猛暑のなか、熱気に満ちた工事の報告をお読みください。 (ボランティア工事担当教員 長井麻美) この夏、学園では先生・保護者によって2つの修繕・工事がおこなわれました。 一つは、霧が丘校舎の校庭フェンス工事。半年以上の調整と設計の試行錯誤を重ねた(自分たちでいうのもナンですが) 素敵な木製フェンス。 もう一つが、十日市場校舎入口の木タイル修繕。 こちらは綿密な調整のフェンス工事とはうってかわって、男気溢れる当日計画当日施工(出たとこ勝負)の一発工事。 木のブロックタイルが凹んだり傷んだり、ガタガタになってつまづいてしまいそうだった入口の修繕です。 集まったのは、男気溢れる長井先生とオヤジ達5人。 まずは意外と重い木タイルをはがしていくところから始めました。その数は多分400を超えたと思います。 あっという間に仮置き場としたブルーシート上に、木のブロックの山ができました。 このタイルを支えていた木の内枠を確認すると、底が腐食しかけて既にボロボロ。即断即決で交換することにしました。 すぐに寸法を採って買出し。併せてタイルの底を支える砂を購入してきました。 元々の内枠の木材角が若干小さいものであったため、新枠の設置は難しいところもありました。 しかしそこはオヤジ達、軽口・近況語りながら、ノコギリ・カンナで真っさらなヒノキ材がミルミル加工されていきます。 手際の良さとビギナーズラックが相まり、えいやっと一発で壁間を隙間なく決めて(少しは隙間あったかも)内枠完成。 さてここからはかなり地道な作業。 下地に砂を追加して平らにならし、一つ一つ木タイルを並べていきます。 と、その前に、○年のホコリや汚れにまみれた木タイルをキレイにする所から。 腐食でボロボロなのから、意外ときれいなものまで、種々様々で多種大量。 永遠かと思えるホコリ払いは、少し辛い気持ちになりましたが、学園の刷毛が大活躍で助けてくれました。 自然とできた役割分担で、並べ担当の四人のオヤジは愉しそうにタイルを置いていきます。 少しづつ大きさの違うタイルを、あーでもない、と考えて並べますが、性格出ますね。、 悩みながらゆっくりと進める人。えいやっと片付けようとする人。楽しい時間でした。 何故か簡単にキチンと並べきる人もいれば、どうしても上手くタイルが入らない人。 あーでもない、こーでもないと笑いながら、最後は皆の力ではめ込みました。 と、云うわけで完成です。よかったよかった。 先達が作り上げた十日市場校舎の、顔ともいえる入口タタキが、少しだけ新しい顔で修繕されました。 学校作りにかかわった方々の想いとともに、自分たちの代の想いも少しだけ学校に残っていってくれたら良いなぁと、汗だくになりながら満足そうな顔で記念撮影をしたメンバーたちでした。 (2・5年保護者 千代継)

100周年記念教員インタビュー  Vol.1(後編)

2019年9月1日

100周年記念教員インタビュー  Vol.1(前編)に続く後編をお届けします。 ーシュタイナー学校を出たわけではない大人(教師や保護者)がシュタイナー教育はいいものだと知って、確信して学校に出合えたことが不思議です。長井先生はどんなきっかけがあったのですか?  もともと教師になりたくて小学1年生で作文にもそう書いた。先生は何でも知っているからと。高校3年生では歌って踊れる教師になると宣言した。大学は教員養成系だったが、その頃から何となく自分の居場所は公立学校ではない気がしていた。高校は美術系だったので、美術教師を目指し、初の海外美術研修旅行はヨーロッパでドイツ、オランダ、イギリス、フランスに行った。大学2年生だった。旅行から帰ってきた直後、本屋で「ミュンヘンの小学生」をみつけ、読んでみると目からうろこが落ちた。面白そうな学校だと思ったが、当時日本にはなかった。がちょうどそのときマリーシュタイナーからオイリュトミーをならった大御所エリゼ・クリンクさんのワークショップに参加したり、たまたま大学内にシュタイナー教育に興味のある同級生がいて、その人の誘いでシュタイナーハウスに行ったりした。その頃はちょっとした留学ラッシュで、ちょうど隅田先生もオイリュトミーの勉強に行かれた。すでにドイツでオイリュトミーを学んで帰ってきた上松恵津子先生のオイリュトミークラスに通った。勉強する仲間もできたし、留学する人もいたが、自分は引っ込み思案で最初は海外留学なんて考えられなかった。  その後、大学を卒業し、公立小学校の個別支援級でパートタイムの補助教員として2年働いたことがよかった。というのは健常の一般級の子どもは、教師の都合に合わせてくれているから分かりにくいが、そのクラスの子どもは今は休みたいとか走りたいとか本心はこれがやりたいとがそれぞれにあるというのを知ることができたから。一人ひとりがそれぞれに発達の道筋があるとか、寄り添わないといけないこととかという教育の原点を若いうちに知ることができた。大きな教室では分かりにくいと思う。そして自分はやはり公立ではないところで教師になろうと思った。たまたまドイツ留学を後押ししてくれる人が現れ、両親を説得してくれた。25歳の時だった。 -幼児教育協会30周年の講演でもドイツで自分は強く望んだわけではないのに教師になることを応援してくれる人や子守をかって出てくれて養成講座に出られるよう助けてくれたり、日本にシュタイナー幼児教育を根付かせるために難しい最終試験に合格するようサポートしてくれた方がいたという話を聞きました。  なんか役割があったんですよね。準備されていたというか。助けてくれる人がいるんですよね。この学校ができたのも松田仁先生がきっかけをくれたんです。当時、自分は私立小学校の教師と土曜クラスの二足のわらじを履いていた。でも松田先生が鴨居の土曜クラスにやってきて「そろそろ横浜に全日制の学校を作らないといけないと思うんです」と言ってきた。その時は自分たちで学校をつくるなんておこがましいという思いもあったが、保護者の中にも準備会に入る人がいるときき、2002年の春、土曜クラスの慰安旅行の温泉地で、神田昌実先生、隅田みどり先生、当時土曜クラスでオイリュトミーを教えていた石川公子先生と、自分たちにできるだろうかと真剣に問い、「やろう!」と決めた。その4月に「作る会」が発足された。  その時にアメリカから帰ってきたばかりの浜本先生がいた。土曜クラスの保護者であった太田さん、寺島さんや、大西さん(お父さん)がいた。その「つくる会」のメンバー20人で資金をいくらまで出せるかを紙に書いて集計したら、1000万円以上あった。そのお金で霧ヶ丘校舎を借りることが出来、約束の期限通り2005年、3年後に開校することができた。 -20人で1千万といったら平均一人50万円ですが、その後、戻してもらうとかはなかったんですか?  ないですよ。いまだに出しっぱなしです。最初は給料だって出ると思っていなかったです。初期資金は返してもらうものとか、そんなことを考えていた人はいません。その時の気運です。今はもう、離れてしまった人もいますし。 -その方々の意志と働きとお金があって今が、この学校が、あるんですね。ありがたいです。伝えていかないとならないです。  そうですね。機会があれば。普通、シュタイナー学校は自分の子どもを学校に入れたいという親と教育に携わる教師とで始めるが、横浜の場合は自分の子どもは大きいし入れないけれど、この教育がいいものだと知っているから応援するよ、という3本目の柱があるのが自慢したい特徴です。それが今のスクールショップの星の金貨です。 -横浜シュタイナーどんぐりのおうちは総会の時に必ず、学園の一室を借りて始めたこと、今の物件で幼稚園をつくるまでのことなどの原点を話しています。次につながるエネルギーになる感じがします。  学園でも少し前には総会の時か年度初めの会議の時に、つくる会からの話をして、それを聞いて感動の涙を流した人を運営委員に誘おう、などとまことしやかに言っていた時がありました。「あの人泣いてたよ」と声をかけたり(笑)。 -100という節目はシュタイナー的にどう考えたらいいのでしょうか?キリストの生涯の33年の3倍というのは定説なんでしょうか?  これはうがった見方で「知る人ぞ知る」みたいなものです。普通だいたい33年は1世代でしょう。人間の3世代。4年生の郷土学でも親とそのまた親のように人間の一世代の営みという意味でそんなに遠くなく、イメージしやすい。100年は3代です。商売も一代で消えるとか持続して2代目、3代目とか「代」で話すと把握しやすい。10の十倍というより33の3倍のほうがイメージしやすい。 -100年は祝祭ですか?  これまでの100年を振り返り、次の100年はどうやって行こうかなと居住まいをただす節目。「わ~、やった!」というめでたさではなく、ミカエル祭、クリスマスという祝祭でもない。今ある自分たちを見直すことにもなるし。本当は節目がなくても毎日自分を見直せればいいんだけど、せっかくの大きな節目だから来し方を眺めて何が大事だったかな、と眺めて振り返りながら、じゃその本質って次のためにどう生かしていけるのかなって思うのにちょうどいい時なんじゃない。 今までやらなかったことをやってみる勇気とか一歩踏み出してみるとかですかね。 -先生は今までやらなかったこととかこれからやろうとしていることって何かありますか?令和になりましたし。  自分は来年担任になるかどうかとか。そうそうこういうサバティカルな立場でもいられないし、決めないとならないのですが、今はまだわかりません。規則では、担任を始める時点が定年前ならいいのですが。高等部の美術史も面白いんです。研究したいです。今回縁あって愛知に行きますが、他校との交流や、千葉や仙台の小さなシュタイナー学校を学校協会の正会員になれるように応援するお手伝いなどを、今年はしていきます。 -先生のドイツ時代のこともお聞きしたかったのですが、時間が無くなってしまいました。第二弾の時に教えてください。貴重なお話をどうもありがとうございました。 (聞き手 Y100メンバー 4年生保護者 鈴木真奈美)

100周年記念教員インタビュー  Vol.1(前編) 

2019年7月14日

シュタイナー学校ができて100年経つ記念すべき2019年。先生方より「シュタイナー教育100年について思うこと」をお聞きしていくインタビューを行うことになりました。はじめにY100の担当教員である長井麻美先生にお話を聞きました。 「これからの社会を創るのは軍事力ではない、人間そのものだ。我々は、人間本質に合った教育方法で未来の社会を創造する力を持った子どもたちを育てるべきだ」という言葉でシュタイナー学校が始まりました。ー中略ーしかし今、人間存在に危機が訪れているという意味では、100年前の世界と似ているのではないでしょうか。機械化、合理化が著しく進み、「AIが人間を超えた」などと言われる時代であるからこそ、人間とは何かを問い直し、人が人を育てることの意味を考える必要があるのではないでしょうか?ニュースレター120号より  -このことをもう少し詳しく教えていただけますか? 100年前と時代背景は違っているけれど人間はどう生きるべきかという問いに向き合っているのはシュタイナー教育。今IT化が進み、AIなどが活躍すると人間がやることがなくなったとか人は職を失うとかいわれている。人間とはどういう存在かを問われているという意味では今の時代も同じだと思う。 -近い将来、今ある職業の多くがなくなるといわれているけれども教師など人と人がかかわる仕事はなくならないとも聞きますが? でも、最近タブレットとかね。学校に行けない子どもがインターネットを使って学ぶとか、もうこれから生身の教師がいらないのではないかとまで言われている。シュタイナー教育は人間だからこそ人間が人間を育てることが大事と終始一貫して言っている。学びの課程で子ども自身が自分で感じてみるしかないし、自分で体験してみるしかない。機械が発達しているからこそ、より人間が必要になっているのではと思う。 6期生の卒業プロジェクト(卒プロ)にもあったけれど人間らしさとは何かっていう問いに対して、「知性を身に着けた」とか「手先が器用になった」とか答え方はいろいろあるけれど、彼は「勇気があることだ」って言ったでしょう。まさにその通りで、人間が人間に教えられることって知識ではなくて勇気とか人を大事にする力とか乗り越えていく力だと思うんですよね。そんなのコンピューターで教えない。教えられない。コンピューターの問題解決プログラムが学べるとかいうけれど、それで人間強くなると思わない。だから今こそ100年前に言われた人間の本質を考えるシュタイナー教育が大事だと思う。 ー卒プロよかったですね。保護者として最後にいいもの見せてもらったなと思っています。 子どもたちの卒プロは準備していくうち日に日に変わっていった。発酵していくかのように。「ただ調べて発表すればいいわけではなくてその何十倍も何百倍も調べないといけないよ。それだからこそ中身のある内容になるんだからね」と伝えました。その結果か、質問されたらどうしようという子もいなかったし、終わった後でもっと質問してほしかったという声もありました。聴衆も温かくて表現してみて楽しかったようです。6期生は、8年生劇でもっと完全燃焼したかったという思いがあり、農業実習のよさをもっと伝えたかったのに月例祭では思いを客席に届けられなかったという悔しい思いがあった上での卒プロで、その後卒業オイリュトミーを全員でやりきった。9年生ならではのカリキュラムのよさがあり、そんな中で、自分たちで見つけるものがあってよかった。それこそふさわしい時期にふさわしいカリキュラムがあり、人間的な発達があったということだと思います。 -現代の課題については? では人間は何をすべきか?というと、自分に便利なものだけが発達していく、開発されていくけれど、未だに二酸化炭素を減らすこともできないし、花粉症はなくならないし、海洋のプラごみを減らすこともできない。目先の便利さだけで人間いいの?と疑問を持ち、そうではない方向性を持てる人間がこれから必要だと思う。  自分本位ではない、全体を見渡すようなグローバルな視点を持つ。自然の中で人間は生かされているという感覚をちゃんと持てる。頭だけでなく心でわかるような人間を育てる可能性があるのがやはりシュタイナー教育だし、それが大事な課題だと思う。 ー全体を見渡せる、グローバルな視点をもてるようになるのはシュタイナー教育のカリキュラムによるのですか?オイリュトミーでそういう感覚を得られるのでしょうか? すべての教科で、です。大人になるときに自分が好き勝手にやったことの結果、地球の裏側の自然環境が壊れるというように思うこと、思い至れること、そういう想像力を育くんでいると思うんです。シュタイナーの人間観に基づいたカリキュラムや活動には、これからの人間はどう生きたらいいか、という本当のグローバルな視点が入っている。目に見えないものとのつながりを含めたものが自分と世界を繋げている。どんな仕事をしていても根底にその視点があれば、世界は変わっていくのだと思う。 -そういうシュタイナー教育のすばらしさを保護者としても伝えて行きたいのですが。 究極的には日本で7つあるこういうシュタイナー学校を卒業した生徒たちが身をもって示していく。ちょいと体験した人がわかるものではない。授業をしている私にもわからない。シュタイナー学校を出たわけではないから。彼らはどんな人生を築いていくのだろうか・・・ (後半に続く) (聞き手 Y100メンバー 4年生保護者 鈴木真奈美)

春祭りに参加して

2019年5月30日

1年生が入学して、2か月近く経とうとしています。担任の神田ひとみ先生は「子どもたちは、だいぶ慣れてきましたが、いい具合の緊張感を持って過ごしています」と話していました。 少し前のことになりますが、入学式から間もない4月に行われた春祭りの様子をお伝えします。 1年生が入学してから一週間後の4月22日の月曜日に、霧が丘校舎の校庭で春祭りが行われました。 横浜シュタイナー学園の霧が丘校舎には5年生までの教室があり、6年生になると十日市場校舎に移動するため、春祭りは毎年5年生までの子どもたちでお祝いされています。春祭りというのはいわゆるイースターのことなのですが、宗教的な意味合いの持つ祝祭というよりも、学校では「新しい子どもたちとの出会いの喜びのお祭り」として祝われています。 春休み前の手仕事の時間に、子どもたちはまだ出会っていない新しい仲間に想いを馳せながら贈り物を作ってくれていました。2年生は毛糸でつくったポンポンうさぎ、3年生はフェルトを縫ったひよこ、4年生は羊毛でふわりとしたことりを作ります。それぞれの学年(月齢)の子どもたちが手を動かすのにふさわしいものを先生方が考えてくださっているのですが、仕上がったものを見るとどれもその学年の子どもらしさが感じ取れます。 春祭りでは、自分たちが作ったものを校庭の草木の間などに隠しておき、それを1年生に見つけてもらうことになっているので、4年生までの子どもたちが校庭で準備をしている間、5年生が教室にいる1年生を迎えに行きます。私たち1年生保護者は、贈り物を仕込み終えたタイミングで校庭に合流させてもらいました。 1年生たちが来るまでに少し時間があったので、5年生担任の神田先生が「歌の練習をしましょう」とおっしゃいました。それは「Come Follow Me」という英語の歌なのですが、何度か歌ってみた後に、まだ言葉の意味がわからない子どもたちのために神田先生は歌詞を体で表現してみせました。歌は「Come, follow, follow, follow, follow, follow, follow me.」と始まるのですが、それをそのまま日本語にして”説明”するのではなく、4年生担任の横山先生に手招きをしながら歩き、横山先生が神田先生について行く…というように、歌詞の内容を二人の先生が実践して子どもたちに見せていました。なるほど、「実体験に基づく教育」を大切にしている学校ではこのような教え方になるのだなと改めて感心しました。 そうこうしている内に、1年生が5年生に付き添われて校庭に現れ、全員が輪になると、早速贈り物を探します。自分の子どもはどんな様子だろうかと見ていると、「これから何かを探すのだ」と理解した娘が、見たこともない程ワクワクしたような表情をしていて、思わずびっくりしてしまいました。でも、隣で付き添ってくれている5年生の子が目に入った時には、もっと驚いてしまったのです。これまで見かけてきた彼女とは全く違う、とても”お姉さん”の顔になっていました。ほわんと、やわらかな雰囲気をまとったその子のことが大好きなのですが、急に大人びたように見え、その差にドキリとしてしまいました。その他の子たちも見てみると、やはり春休みの間に急激にしっかりとしたように見えた子も多く、つい一人ひとりを観察してしまいました。学園の子どもたちは他の学年の子であっても、とても身近な存在に感じます。彼らの成長を感じる度に、人ごとではなく、時折思わず涙してしまう保護者はきっと私だけではないはずです。そんな子どもたちと一緒にひと時を過ごせて幸せな時間でした。 そして校庭で見つけた贈り物を大切に家に持ち帰った娘は、しばらく嬉しそうにそれを眺め、長女が帰宅した後は春祭りの話題で随分と盛り上がっていました。お天気にも恵まれ、一年間の最初の祝祭を無事に終えることができ、新しい学園生活の良い幕開けとなったように思います。毎年恒例の「小鳥パン」を焼いてくださった3年生の保護者のみなさま、ありがとうございました。(私が手にした小鳥パンは思わず製作者の方のお顔が思い浮かぶような愛嬌のあるパンでした) (1・4年保護者 松山ちかこ)

今年はシュタイナー学校創立100周年

2019年5月14日

1919年9月のことです。ドイツ、シュトゥットガルトにあったたばこ工場の建物で、ひとつの学校が誕生しました。当時、軍事力を使ってヨーロッパに君臨しようとしたドイツの夢は、第一次世界対戦で敗れたことで打ち砕かれ、国中が意気消沈していました。 「これからの社会を創るのは、軍事力ではない。人間そのものだ。我々は、人間の本質に合った教育方法で未来の社会を創造する力を持った子どもたちを育てるべきだ。」暗い闇夜にろうそくの火を灯すようなこの言葉でルドルフ・シュタイナ-は賛同者を集め、世界最初のシュタイナー学校「自由ヴァルドルフ(シュタイナー)学校」が始まりました。 ドイツでは伝統的な徒弟制度が根強く残っていた為、当時は男女がひとつの教室で学ぶことや、職業の違う家庭の子どもたちが同じ学校に通うこと自体が珍しかったようです。しかし、見た目にも画期的だったこの学校の本当の革新的な部分は、その教育理念にありました。それは、人間の本質を見抜き、本質に合った教育を施すことです。「人間の成長、発達には普遍的な順序と適切な期間がある」と説いたシュタイナーの人間観に基づいた教育方法は、ドイツのみならず世界中の子どもたちに通用しました。また、根本的な理念を押さえた上で、それぞれの国の文化に沿ったカリキュラムを創造することが可能でした。それがこの100年間でシュタイナー学校が広がり、今や世界各地に1000校以上が存在している理由だと思います。 シュタイナー学校創立100周年を記念したさまざまな動きがあります。世界中のシュタイナー学校が手を繋ぐプロジェクト(全世界葉書交換プロジェクトは今も進行中)や日本中の学校が協力して行うプロジェクト(8月16日~18日の渋谷でのイベントを中心に数々あります)のほか、個人的に世界各国のシュタイナー学校を訪問することに挑戦している人たちもいますから、今年は海外からの訪問客が増えるかもしれません。 横浜シュタイナー学園では、12名の教員が「最初のシュタイナー学校」で9月に開催される世界的な教員会議に参加する予定です。10月には報告会を開き、学びを分かち合いたいと思います。   学内ではこの機会にシュタイナー教育に対する思いや考えを深めていこう、と保護者の有志の皆さんがプロジェクトを立ち上げ、さまざまなイベントが計画されています。 100年前にシュタイナー学校が創立された理由をそのまま現代や未来への課題に当てはめることはできないでしょう。しかし、今、人間存在に危機が訪れているという意味では、100年前の世界と似ているのではないでしょうか。機械化、合理化が著しく進み、「AIが人間を超えた」などと言われる時代であるからこそ、人間とは何かを問い直し、人が人を育てることの意味を考える必要があるのではないでしょうか。 2019年は、これまで100年続いてきたシュタイナー教育の歩みを振り返るだけではなく、次の100年に向けて人間存在の本質を見つめ、変貌しつつ歩んでいく可能性を探る年にしたいと思います。 一・六期生担任 長井麻美 2019年6月23日、7月21日開催 なぜ、今、シュタイナー教育なのか ~100周年記念対談シリーズ~ 2019年8月16日〜18日開催 企画展「世界がかわる学び ~シュタイナー教育100周年~」in 渋谷  

入学式 〜天使のささやき〜

2019年5月11日

入学式、まだ花が十分に残っていた学園の前の桜は、今やその姿をすっかり変えて、日に日に緑を濃くしています。それくらい、ちょっと時間は経ってしまいましたが、保護者から寄せられた、入学式にまつわるエピソードです。 春休みが残りわずかとなった頃の週末に、保護者による霧が丘校舎の大掃除が行われました。大掃除は毎学期ごとに行われていますが、子どもたちが進級して新しい教室になってから最初の掃除は少し特別に感じられます。自分の子どもの教室の掃除が終わると、共有部分や、まだこれから入ってくる新一年生の教室も手分けして作業されて校舎全体を手がけます。みんなで協力しながらテキパキと作業が進められました。 私は入学式が行われるオイリュトミー室で「一週間後の入学式」のことを思いながら作業をしていて、ふと三年前の長女の入学式のことを思い出しました。当日は教員と、ライアー演奏をしてくださった保護者や係の仕事を担ってくださる保護者が少数いるだけでしたが、部屋のあちこちから「おめでとう」という小さなささやきが聞こえてくるような気がしたのです。それは、まるで天使がささやいてくれているかのような小さな声でいて、泡のようにスッと消えていくのでした。丁寧に掃除された校内のすみずみや、さりげなく飾られたお花から、それは聞こえてくるよう。もしかしたら、その日に姿は見えなかったけれど、私たちを迎える準備をしてくださった保護者たちの想いが、小さなささやきとなって届いたのかも、と思うのです。まるで物語かなにかのような話ではありますが、私には確かに届き、それを確かに受け取ったのでした。 そして、入学式当日、私は次女を連れて二度目の入学式に出席するために学園を訪れました。「入学おめでとうございます。みんなに会えてとても嬉しいです。」と、2年生担任の末永先生がおっしゃいました。校舎自体もまるで末永先生と同じ気持ちを伝えてくれているかのように、普段よりもうんと輝き、喜び満ちているように見えました。 日ごろから保護者や教員によって手がかけられている校舎は訪れた人達から「雰囲気がとてもあたたかいと感じた」との声も多く聞かれます。百聞は一見に如かず。是非たくさんの方に訪れて体感していただきたいと思います。もしかしたら、あなたにも天使のささやきが聞こえてくるかも、しれません…。 (1年4年保護者 松山ちかこ) 今年度もたくさんの講座やイベントを予定しています。ぜひ足を運んで学園の雰囲気を感じてくださいね。 詳細は学園サイトでご確認ください。 https://yokohama-steiner.jp (広報の会)

長期休みの保育がスタートしました

2019年4月17日

新1年生14名と転入生2名を迎え、横浜シュタイナー学園の2019年度がスタートしました。桜並木の淡いピンク色の花びらが舞う中、無事に入学式を終えることができました。 例年、春休み中の校舎はしんと静まり返っているのですが、今年は様子が違い、子どもたちの遊ぶ声が響いていました。学園では今年度より、在籍している子どもを対象に、長期休み中の保育を始めたのです。これまで、保護者有志が運営してきた放課後の子どもの居場所「ペレの家」が、学内の組織になり、長期休みの保育も行うようになりました。 保護者やOB保護者の他、新たに2名の指導員を迎え、シュタイナー教育をベースにしたリズムある3週間を過ごしました。 朝の会の後、自由遊びをし、おやつ、公園での外遊び、手仕事やおやつ作りなど、学園の先生たちとも相談し、1日のリズムを作り、そのリズムを大事にしてきました。私も指導員として入りましたが、保育期間の後半には子どもたちの中にも1日の流れが入っているし、リズムがあることで指導員にとっても疲れが少ない(!)というのは発見でした。 時々、学校を訪れる先生や保護者が保育の様子のぞいては、「お家のようないい雰囲気だね」と言ってくれたそうです。若い男性指導員もいるので、3、4年生の男子たちも、よりダイナミックに鬼ごっこを楽しめた様子でした。時々は小さなケンカもありつつ、大人が見守るあたたかい空間で子どもたちは、安心して楽しく過ごせていたのかなと思います。 これまで「両親ともに働いているから学園への入学は難しい」といった声も聞きましたが、お仕事だけでなく、遠方からの通学や、小さい弟妹がいること、介護など、多様な背景を持つ家庭のお子さんにも、シュタイナー教育を受けて欲しい、という思いで長期休み保育ができました。 これまでも、必要なものは自分たちで作る、という考え方で、いくつもの学内の活動グループが生まれています。これからも大人たちが協力し合い、子どもたちのための良い学校づくりができたらと思っています。 (5・8年生保護者 中島美穂)