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横浜シュタイナー学園を応援してくださる友人の皆様

2020年4月19日

校庭では休校中でも木々が芽吹き、花は美しく咲き誇っています

新型コロナウイルスによる感染症の拡大が盛んに報道され、誰もが日々の生活や仕事への影響を受けている状況です。皆さんもお心を痛めていらっしゃることと思います。
横浜シュタイナー学園では、2月28日の登校を最後に臨時休校が始まり、そのまま春休みに入りました。授業が中止になっても、卒業を控えた9年生は、学びの仕上げのために1週間の時差通学を敢行し、卒業プロジェクト発表会、卒業公演(音楽とオイリュトミー)を規模縮小ながらも心のこもった素晴らしい発表で締めくくったあと、3月15日の卒業式で巣立っていきました。「普通」ではなかった15の春をたくましく、笑顔で踏み出していった卒業生一人一人の前途に明るい光がさすことをわたしたちは信じてやみません。
その後、休校中、教員会はなんども話し合いを重ねましたが、緊急事態宣言が出される前日に以下の方針を定めました。
・ゴールデンウィーク明けまでの休校延長
・入学式の延期
・4月中に予定されていたすべての行事の中止
・春休み保育、平日学童保育の中止
現在は毎週教員会議を開き、社会情勢を観つつ、生徒や保護者と連絡を取り合いながら、やがて学校再開できる日を窺っている状況です。
休校期間中、クラス担任はそれぞれの学年に合わせた連絡方法を用い、自宅で学べるように1日の過ごし方や自宅学習の手引きと宿題を与えています。児童生徒が、いつも学校と繋がりを持ち学んでいるという感覚を維持できるような工夫をしています。
子どもたちは、各々担任から送られてきた課題を毎日決まった時間に行うように日課を作って努力しているようです。また学習のみならず、毎日の家事手伝いや自分なりの課題を決め、それらを実行しているという報告を受けています。入学式前の新1年生には「毎日の課題は学びに向かう心と体を準備すること」と保護者に伝え、勉強ではなく、体力づくりと家事の手伝いや植物、生き物の世話などを通して豊かな感覚を養えるような体験を重視するように努めてもらっています。
保護者もこの教育が、子どもが健やかに成長できる環境を作ることを第一に考えていることをよく理解して、家庭生活でも配慮しています。家庭での様子を聞くと、「自分で日課を作ってそれを達成することに喜びを感じて過ごしている。(6年生)」「このような状況下でも子どもたちの気持ちが安定しているので、本当にこの教育でよかったと実感している。(5、1年生)」などの声が返ってきます。学校が長期休み中でも、日々の生活リズムを崩さず、日課とお手伝いなどを通して、また、学校でいつも唱えている詩や言葉を家でも唱えることを通して、子どもたちは比較的健やかに過ごせているようです。「暇を持て余し、何時間もゲームに没頭してしまう」「テレビ漬けになり、生活が昼夜逆転してしまう」というような危険から今、子どもたちを守ることができるのはこの学園の教育だ、と実感する今日この頃です。

季節の巡りの確かさと、植物のたくましさに、私たちが勇気づけられるよう

さて今、全世界が一斉に未曽有の危機に直面していることに、どのような意味があるのでしょうか。わたしたちは今、何を学び取らなければならないのでしょうか。そのことは、わたしたちが今後もシュタイナー教育を行っていくこととどのようなかかわりがあるでしょうか。
この困難な状況下で、「わたしたちのものの観方、考え方が「不安と恐れ」によって硬く、こわばらないように、目前の危機が人と人との間、人と自然との間に「分断」や「排除」を生まないように、よく気を付けていかなければなりません。むしろ、このような時代だからこそ、より温かく、思いやりのある行動へと自らを律していく必要があります。空を仰ぎ、大地を踏みしめ、地上に生きるものとしての喜びと務めを忘れないようにしなければなりません。
シュタイナー教育は光に向かう教育です。そして「不安や恐れ」という「心の闇」に光を当て、ほんとうに今必要な力は何かと探す「よすが」となり得ます。子どもたちには必要以上の不安を与えないように、しかし、できる感染防止策はすべて講じていきます。そのうえで、わたしたちはシュタイナー教育を実践し続けていきたいと考えています。たとえ学内関係者に感染症に罹患した人が現れる日が来たとしても、皆で手を携えて協力し合い、助け合い、お互いを思いやりながら、あらゆる事態を乗り越えていきたいと思います。
横浜シュタイナー学園は、以上のことを考え、実行し、これからも歩んでいきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

(横浜シュタイナー学園 教員会 長井麻美)