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演劇、このよきもの

2024年2月7日

横浜シュタイナー学園では現在
8年生劇の開催に向けてにぎわっています。
今回のブログは
授業としての演劇への取り組みについて
教員からよせられたものを掲載いたします。

「演劇、このよきもの」

シュタイナー学校では、
8年生と12年生でクラス全員による
劇の取り組みがあります。

8年生は(通常)
1年生から続いた担任との
学びの最後の年として、
12年生は高等部卒業演劇として
それぞれ「学びの集大成」という
位置づけで行われるものです。

横浜シュタイナー学園は9年制ですから、
8年生という学年は
担任時代の最終学年ではありませんが、
「学びの集大成」という意味は
十分含んでいます。

8年生で演劇に取り組むのはなぜでしょうか。

 
クラス全員が参加するとなると、
人前で何か発表することが
苦手な生徒も必ずいるはずです。
演劇が好きな生徒だけが
活動する「部活動」ではなく、
クラス全員が取り組むとは
どういうことなのでしょうか?

8年生の生徒たちは
思春期の真っただ中にいます。
世間ではまさに「中二病」と言われる年代です。
自分の内面も外面も大きく変化し、
その変化に戸惑い、
世界と自分との繋がりを模索している時代です。
自ずと生徒たちはうつむき加減になり、
人とのかかわりも独りよがりで
頑なになってきます。

そんな時期に、大きな演劇に取り組むことで、
一人ひとりが自分ではない
別の人格を演じるために、
奮闘しなければなりません。


そこで、自分を客観的に
見る場面が多く与えられます。
また、出来るだけ全ての準備を
生徒の手で行うことによって、
「考え込むより行動する」
「ひとりより、皆で協力する」ことを
余儀なくされます。
否が応でも友達や先生方と話し合い、
他者と自分との繋がりを深めることになります。

そして、準備を続けた先には、
何百人という観客の前に立つ、
大舞台が待っています。
生徒たちは、舞台に立って役を演じ、
大道具、小道具を動かしながら、
観客の反応を肌で感じ取ります。

8年生劇では、「本番で生徒たちが化ける」
と言われています。
演劇は、ただ役を演じる者が作るのではなく、
観客と一体になって初めて完成するものだと、
生徒たちは舞台の上で感じ取るからです。

こうして、演劇の取り組みは終わります。

演劇を通じて、
子どもたちが得るものは目には見えません。
しかし、怒涛の思春期を
潜り抜けていくための力を
彼らはこの体験を通して得ることは
間違いないと思います。

「演劇、このよきもの」
皆さんも、どうぞ劇場に足をお運びください。

「8年生劇の完成」のためにご協力ください。
決して後悔することはないと思いますよ!

(4年生担任 長井麻美)

【受付終了】2/12・13(月.祝・火 )8年劇「間違いの喜劇」