いわゆる不登校、行き渋りのお子さんでお悩みのご家庭へ


はじめに

学校に自分の居場所を見つけられない子どもたち、学校に居心地のよさを感じられない子どもたちが、文部科学省の調査によると、2023年度には34万人を越えさらに急増しています。横浜シュタイナー学園は、子どもたちの幸福を追求する教育機関の一員として、このような状況に様々なアプローチで応えようとしてきました。このページでは、その概要をお伝えしたいと思います。

子どもたちの安心感を最優先する学び舎

横浜シュタイナー学園の初等教育には、以下のような特徴があります。

  • 一人ひとりの子どもとのつながりを大事にする先生の存在
  • ゆったり、ゆっくりと学ぶ
  • 知識ではなく、物語が生み出すイメージと情感を通した学び
  • 質素な美しさに満ちた居心地のよい教室環境
  • 心と手を動かし、メディアに依存しない本物の学び
  • 競争させない、比べない。その子らしさを大事にする。
  • 子どもを小さな大人にしない。子どもらしく「子ども時代」を過ごす権利を保障する。

 

これらはすべて、学習というステージに入る子どもたちが、その新たな世界に安心して入っていけるような環境の基盤となるものです。

わたしたちは、このような学びの環境がすべての子どもたちのものであると考え、学びの選択肢を広げるための歩みを続けてきました。そしてその歩みのなかで、学校に行けない、行きづらい子どもたちのなかに、とくにこのような学びを強く求めているお子さんがいることに気づきました。

1年生から保健室登校を続けていたお子さん。給食が食べられず、もどすようになり、行事の前日になると高熱を出していたお子さん。授業の速いペースについていけず、元気がなくなったお子さん。学校のルールが納得できないと、自ら学校を飛び出したお子さん。マイペースなため登校班の歩調に合わせられず、後ろから棒でたたかれたというお子さん。

このように、さまざまな経緯を経て学園につながった子どもたちが、今はおだやかに学び、劇を演じ、うたや演奏を楽しむ毎日を通じて、自分らしく成長しています。卒業していった子どもたちもたくさんいます。

横浜シュタイナー学園の不登校支援活動

横浜シュタイナー学園では、上記のようなお子さんの受け入れの他にも、2015年6月より、横浜市教育委員会との不登校支援連携事業に取り組んでいる横浜子ども支援協議会のメンバーとして活動してきました。現在は協議会を運営する運営団体会員となり、不登校相談会事業や公設の不登校支援施設との相互の学びあい事業などに尽力しています。

また、同時期より、神奈川県学校フリースクール等連携協議会の登録団体としてその連携に参加、2023年より神奈川県立青少年センターの要請により「ひきこもり、不登校などの青少年やご家族をサポートするNPO等」として情報公開しているほか、大田区教育委員会連携事業、町田市教育委員会連携事業、藤沢市教育委員会連携事業にも継続的に参加しています。

さらに、学校外の学びを保障する戦後初の法律である「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の成立にも、立法を牽引した市民団体「多様な学び保障法を実現する会」(2022年11月に解散)のメンバーとして関わったほか、現在も「多様な教育を推進するためのネットワーク」の活動に参加しています。

横浜シュタイナー学園に関心をお持ちの方に

学校に行けない、行きづらいお子さんと言っても、そのあり方は様々です。横浜シュタイナー学園がベストな解である場合もあれば、残念ながら力不足である場合もあります。いずれにしても、いちばん大切なのは、そのお子さんにとって何が最善かということです。その判断のよすがとして、以下に横浜シュタイナー学園の特色をご案内します。また、巻末の情報源なども参考にしていただき、今のお子さんにとって最善の選択を探してあげてください。

  • *少人数のクラスですが、一斉授業と集団活動が伴います

    1クラスは最大20名定員ですので、とても家庭的な雰囲気ですが、授業スタイルは基本的に一斉授業であり、集団で活動するアクティビティーもたくさんあります。そのような活動になじめない特性をお持ちのお子さんや、休息が必要なお子さんには適さない可能性があります。

  • *ご家庭の環境を整えることにご協力いただきます

    シュタイナー教育のあたたかく、ゆったりした環境を維持するために、ご家庭にも多くのご協力をいただいています。たとえば、テレビやゲーム、スマートフォンなどの電子メディアと触れる可能性を排除していただく、学園の学びとのダブルスタンダードになるようなお稽古事はいったんお休みしていただく、などです。

    このような生活は、一度試していただければ、お子さんの遊びや学びが豊かに変化し、大人にとっても快適な生活であることを実感していただけるものと思います。

    参考:当サイト「幼児期の子どもたちの成長過程と環境について」
    (幼児期についての記事ですが、初等教育にも通じる内容です)

  • *保護者の関わりを重んじています

    「教職員と保護者がともにつくる学校」をコンセプトとしており、学校への関わりを重んじています。各家庭の事情には配慮いたしますが、ご家庭の側でも誠意をもって関わっていただくようお願いしています。

  • *随時の受け入れはしていません

    現在のところ、年に3回ほどの募集時期以外の受け入れは行っておりませんこと、ご了承ください。また、定員やクラスの状況により、募集をかけていない学年があります。9年制である関係から、中学段階を仕上げの時期と位置づけており、6年生以上の学年の募集は原則として行っておりません。詳細は、以下のページをご確認ください。

    当サイト「転入児童募集の状況」

  • *費用がかかります

    横浜シュタイナー学園は公的支援を受けないNPOが運営する学校であることから、現在の教育の質を維持・発展させるための運営費は、ご家庭からの拠出が拠り所となっています。入学時には入学金等を申し受けますので、あらかじめご確認ください。

    当サイト「学費について」

以上のほかに、本サイトの学園案内などもご覧いただいた上で、転入を検討される方は、校内見学会などの公開行事や入学説明会などにもぜひご参加ください。また、簡単なお問い合わせであれば、電話にて対応いたしております。

特定非営利活動法人横浜シュタイナー学園
事務局(窓口業務時間:平日9:00~16:00)
tel.045-922-3107

参考1:その他の支援団体等の情報源リンク

参考2:日本のシュタイナー教育のはじまり

日本のシュタイナー教育の歴史は、1970年後半から始まったいわゆる学校荒廃の歴史に重なります。激しい校内暴力やいじめの横行に心を痛め、それらが社会や学校に対する子どもたちの異議申し立てではないかと考えた多くの市民が、新しい社会のあり方、新しい学びのあり方を求めるようになりました。子安美知子さんの著書を通じてシュタイナー教育に大きな関心が集まったのも、そのような背景によるものです。

横浜シュタイナー学園を創立したメンバーも、そのような流れの中で、新たな教育の可能性を求めて海外に渡り、学んだ者たちでした。このように、横浜シュタイナー学園創立の底流には、現在の不登校の急増に至る教育の諸問題への真摯な問いがあり、その問いは今もなお私たちの活動に息づいています。

*詳細は当学園が加盟する日本シュタイナー学校協会公式サイト「日本でのはじまりと発展」をご覧ください。

がくえんにっし -日々の活動を綴ったブログ-