3年生の「くらしとしごと」の活動で1年を通して取り組んできた稲作がクライマックスを迎えました。ついにそのお米を頂くときがきたのです。

晴れ渡る冬空のもと、「にいはる里山交流センター」に集った子どもたち、先生、保護者の人たち、そしてご指導くださるスタッフの方。

まずは、一人ひとりお米を研いでいきます。水を流すときにお米がこぼれ落ちないように、少しずつ気をつけて。自分たちで大切に育ててきたお米、一粒も無駄にはしたくありません。
じっくり丁寧に研いだため、お米がだいぶ水を吸っているようです。それを計算に入れて、スタッフの方の匙加減で水の量を調整。大きな釜で浸水します。
浸水している間、スタッフの方と一緒に活動を振り返ります。
田植え、草取り、稲の花の鑑賞、稲刈り、脱穀、精米… 何度も田んぼや交流センターに足を運んで身体を動かし、各工程を実践してきた体験・想い出が呼び起こされ、ついに食べるときが来たのだと、その実感を深めているようでした。

それから、各家庭から持ち寄った色とりどりの具材を切ります。お味噌汁に使います。刃物を使う作業を大人たちが手厚くサポート。
「猫の手でおさえるんだよー」
「他の人のと大きさ合わせて切ろうか」
「包丁は下に押して切るんやで」
ここのところ「家づくり」でノコギリを使うことが多かったからでしょうか、ぎこぎこしている子もちらほら…。
子どもたちが校庭で育ててきた大根も具材に加わり、同じくレタスはサラダに使います。


大きなお鍋に具材を投入した頃、お米の浸水もほど良い具合のようです。

いよいよ釜戸に火を入れるときに、スタッフの方から豆知識。
「桃太郎の『おじいさんは山にしばかりに』の『しば』は、芝生の芝じゃなくて、薪のことなんですよ」
あとで調べたところ、「芝」ではなく「柴」なんですね。勉強になりました!
子どもたちも順番に「柴」を投入し、じっと火を見つめます。
しばらくすると、釜戸の蓋の隙間から湯気が出てきました。ごはんのいい匂いがします。これに少し焦げた匂いが混ざってきたところで、燃える薪を取り除いて弱火に調整し、じっくり蒸します。
釜屋の調理場の大鍋からも、味噌汁のいい匂いが漂ってきましたよ。


ごはんが炊けました! 先生が釜の蓋を開けると、もうもうと上がる湯気、ご飯のいい香り。いい按配に炊けたようです!
みんな揃って、
「いただきます」

近隣の梅園(昭和医科大学 横浜自然教育園)で今年採らせていただいた梅を漬けた梅干し、紫蘇の実も食卓に加わりました。
みんなで育てて、調理して、みんなと、先生と、お母さんお父さんたちと一緒に頂く。最高のひとときになったことでしょう。
お腹がぱんぱんになるまで何度もおかわりをした子たちもいました。
1年を通じて取り組んできた3年生の学び「くらしとしごと」。
暮らしに必要な家やモノや食べものは、人の手足のはたらき(=仕事)によってつくられているということ。
そして、自分たちが仕事をすることができるということ。その喜びを全身で感じられたのではと思います。
暮らしも仕事も、自然の恩恵なしには成し得ない。
暮らしのための仕事、仕事のための暮らしであり、一体のものである。
自分以外の人のために仕事をすることで、喜びを分かち合い、お互いの暮らしや仕事をより良くして、その循環からより大きな喜びが生まれる。
自分の暮らしは人の仕事のおかげだということ。
大人の私もあらためてそんなことを思いましたが、子どもたちはこれからの学びを通して、ゆっくりと自分のこたえを紡いでいくことでしょう。
活動を終えた子どもたちは、学園に持ち帰っていた藁を田んぼに撒いて土に還しました。来年の3年生の学びにバトンを渡し、年内の活動に幕を下ろします。

3年生保護者 おはよー



















