3年生から始まった「くらしとしごと」のエポック授業で、子どもたちは自分たちのくらしを支えている 様々な仕事を体験し、学んでいます。
5 月 21 日、動物の恵みについて学ぶため、こどもの国牧場へ出かけました。クラス全員でまるまる一日校外学習に出かけるというのは初めての経験です。前日から子どもたちの心は期待ではち切れんばかり。持ち物を自分でメモ して気合十分です。
当日の明け方、もの凄い雷雨にどうなることかと思いましたが、登校時には涼しい風が吹き気持ちのよい 日になりました。こどもの国はその日ちょうど、複数 の保育園や幼稚園や小学校の遠足と重なり、入場口は 人・人・人の海。はぐれないようにしっかり手を握りながら入場しました(私たちの学校、小さくてかわいいなぁと実感)。奥へ進んでいくと、牛舎のにおいが 漂ってきて、子どもたちは馬や牛や羊を見つけるな り、口々に「わぁ〜!」といって駆け寄っていきました。
まずは、牛舎の牛たちを前に、飼育員の方から、牛 のことや飼育員の仕事の話を伺いました。牛たちの一 日過ごし方や、じつに機能的に作られている牛舎の仕 組みなど、とても面白いお話に皆じっと耳を傾けて、 質問もたくさん出ました。お話の間にも、牛たちはのんびりと干し草を食べ、時おり滝のようなおしっこをして、子どもたちを驚かせました。
次に、牛の乳搾り体験です。空中で手つきをよく練習して、こわごわ牛のもとへ。上のほうから順番に絞っていかないとミルクが出て来ず、コツがいるようでしたが、ぎゅっと握った牛のおっぱいから細くミルクが出てくると皆笑顔になり、「あったかかった〜」「やわらかーい」といって戻ってきました。順々に搾って、ようやくバケツの底にミルクがうっすらと溜まりました。最後に「見ていてごらん。」と飼育員さんが慣れた手つきでリズ ミカルに搾って見せてくれました。
そして次に、羊の毛刈りを見学しました。飼育員のお姉さんが大きなバリカンを抱えて、羊の胴からどんどん毛を刈っていきます。羊は 15 分ほ どで、ぶ厚いコートを脱いだように、一回り小さくなりました。普段から手仕事の授業をしている子どもたちにとって羊毛は身近な素材ですが、いつも触っている羊毛も、こんな風にどこかの一頭の羊がまとっていた毛なのだとつながったと思います。帰りに、刈った一頭分の羊毛をビニール袋に入れてもらい、子どもたちはそのふかふかな感触を楽しみながら、交代で抱えて帰りました。
午後にはバター作りも体験しました。さっき見た牛たちから搾った新鮮な牛乳を少し温めて、ひたすら振る!ひいひい言いながら交代で振ること 10 分。牛乳の入ったペットボトルの中には、つぶつぶに固まったバターが浮いています。そっと漉して、バターはクラッカーにつけて食べました。 皆「おいしい!」と、お皿やスプーンに残っているバターまできれいに食べました。漉された牛乳は低脂肪乳になり、さっぱりした味わい。楽しかった一日の気分も一緒になって、最後に満ち足りた気分で見学を終えました。
この一日で体験しただけでも、牛乳・乳製品・ 堆肥・羊毛と、動物は私たちのくらしにたくさんの恵みを与えてくれています。そんな動物たちに、友達のような近しさを持って接している子どもたちの様子が印象的でした。
(3年生担任 太田初)