自分の無くした通学定期の件で
朝から不機嫌だった息子。
今朝は挨拶もそこそこに出かけていった。
シュタイナー学校の子どもだって
思春期も迎えるし、親に反抗もする。
中学生の年齢にもなれば
覆われていたヴェールはあけ
次第に周りが見えてくる。
自分の目で物を見て、
自分の頭で物を考え始める頃だ。
あれ?
玄関横に置いてあったのは正方形の木板。
ウォルナットの木目の上に
交差する糸のグラデーションが織り成す
それはそれは美しい円が浮かんでいた。
シュタイナー学校の[かず]の授業でも取り入れている糸掛けグラフィック。
低学年のそれを見たことがあり
息子も低学年の頃
ノートに鮮やかなクレヨンで
そうとは知らずに美しい幾何学模様を描いていた。
誰もが知っている九九の掛け算が秘めている美しい法則。
そんなふうに[かず]を目で見ることは感動だった。
中学生から始まる部活動で、息子が選んだ野球部と数学部。
遠い昔、数学の教師からチョーク投げの牽制を受けて以来
[かず]に恐怖さえ覚えるわたしの子が数学部に。
[数学部]とはいったいなんぞや。
まさか100問ドリルを延々とこなすわけでもなく
時々家に持ち帰る
立体のカレンダーや
図形を使ったデザインや
蛇腹折りの小冊子などを見る度に
親としても興味はしんしんだが
家では寡黙な息子に尋ねても
実状はいまだよくわからない。
わかっているのは
ひと味違う、この学校の[数学]。
わたしもこんな風に学びたかった。
(8年生保護者)
素数の年である2017年
横浜シュタイナー学園数学部の糸掛けグラフィックが
毎日学生新聞の取材を受けました。
当時の記事を学園サイト内で見ることができます。
毎日学生新聞 素数年へようこそ<2017年1月1日発行>