学園で迎える最後の誕生日。
今朝は早起きして
クラスの人数分のカップケーキを仕上げる息子。
クラスによって多少の違いはあるが
この学園では、どこのクラスでも
一人ひとりの誕生日をクラスみんなでお祝いする。
息子のクラスでは、誕生日を迎える子どもが
仲間たちに手づくりのお菓子をふるまう。
ちいさな頃は親が用意していたものを
ある時期からは子どもたち自身が用意するようになった。
思い返せば、幼稚園の頃から
シュタイナーの学校ではいつも
とても丁寧で温かな誕生日を過ごしてきた。
幼稚園では
小さな手づくりの冠とマントを身に着けて
輪になった椅子の真ん中に座り
仲間たち一人ひとりから声をかけてもらった。
仲間の輪に囲まれたそのちいさな姿は
はにかみながらとても誇らしげだった。
小学校に上がり
マントの装いはなくなったけれど
手づくりのカード、お菓子のふるまい、
温かいおもてなしは15歳の日まで続いた。
ちいさな学校、ちいさなクラスなりの大変さは
もちろん、ある。
けれど、こうした輪の温かさはなににも代えがたい。
きみがここにいてくれてうれしいーとお祝いする日に
いつも輪になった仲間たち。
その輪を見守り支えてくれた先生たち。
この先それぞれの道を分かれて歩いていても
そのつながりはいつでもきみを助けてくれるはず。
思春期の只中の彼らは
そんなことをまだ感じる由もないかもしれないけれど、
それはこれからのきみたちへの一番のギフトかもしれない。
そんな彼らが巣立ちゆく春は
もうすぐそこ。
(9年生保護者)