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ジョン・ビリング ライアーコンサート vol.3

2015年11月27日

11月15日(日)、ジョン・ビリングさんのライアーコンサートが、十日市場校舎で開催されました。
ジョンさんのコンサートは、2013年5月、2014年10月に続いて3回目。
音楽専科の原口先生が、ドイツでご一緒したことをきっかけに実現でき、私たちライアーの会も一緒に弾ける機会をいただけたことは、幸運以外のなにものでもありません。
ジョンビリング1
●ジョンさんとのリハーサル
今回、3曲を一緒に弾かせていただきました。そのリハーサルの1時間。まさに至福の時でした。
まず、私たちだけで弾く。それから、ジョンさんが入る……ただそれだけで、音が全く違うのです。ジョンさんの楽器が大きいというだけではない何かがあるのです。音が急にイキイキと動いてくる……私たちもそれにつられて、内側から力が沸いてくるようなあの感じ。忘れられません!
私たちのつたない演奏にも、真摯に耳を傾けて、「短いよね、もっと繰り返しをして長く」など、どんどんアイディアを出してくれたり、「どのパート弾いてるの?」と確認したあとは、その場でアレンジして別パートを弾いてくださったり……けれど、まだまだ自分のライアーが育っていなくて、そのジョンさんの音に応えられないもどかしさを感じたりもしました。
『浜辺の歌』は、ジョンさんがライアー用にアレンジしてくださった曲です。ライアーの会が歌うと、「日本語を覚えるためにアレンジしたんだけど、まだ日本語では歌えないので、ハミングで低音を歌うね」と加わってくださいました。
リハーサルの終わりでは、ジョンさんが私たちに「ありがとう」と。自分のアレンジした曲をこんなふうに歌ってくれて、と。
ジョンさんが素晴らしいのは、ライアーの音だけではないんだなぁ…と、英語ではうまく言えない私は心の中で深い感謝の気持ちを送りました。
ジョンビリング2
●公開コンサート
用意したイスがひとつだけ残っていて、遅れてきたお客さまが座って、まさに満席!60名のお客さまは、温かなオイリュトミー室の空間で、しずく形のジョンさんのライアーから奏でられるきらめくような響きに、静かに、ほんとうに静かに聞き入っていました。
お客さまからいただいたアンケートの感想(◆)をご紹介しながら、振り返ってみます。
1.『4つのプレリュード』……ジョン・ビリング
◆演奏が始まったとたん、室内の空気が変わったように感じられました。音になでられ、包まれていました。
◆あまり体調のよくない状態だったのですが、2曲聴いたところで、頭痛が消えてしまいました。「癒やされる」を実感した瞬間でした。
2.『Tanabata Wish for Tohoku(七夕の願い 東北のために)』……ジョン・ビリング
この曲は、3.11の大地震と津波による犠牲者と生き残った方たちのために、2011年日本で作曲されました。震災直後からジョンさんは、東北での演奏を続けています。
「この曲が終わっても、どうぞ拍手はなさらないでください」というアナウンスのあと、深い祈りを込めての演奏に、涙があふれてしまう人もいました。
◆ 私は福島県郡山市に住んでいて、2011年の3.11の地震で原発事故が起き、すぐに東京へ娘を連れて避難してきました。涙を流している暇がなく時が流れて、今年やっとライアーを手に入れました。何度か弾いているうち、心が洗われ、あるアイルランドの歌を弾き語りするとき、やっとそのかかえていた哀しみが、涙と共に流れ始めました。
◆「悲しみを引き出す」というお話がありましたが、ライアーの音色は、個々の持っている内面を引き出す作用があるのだなあと思いました。生の演奏をお聴きして、ライアーとビリング氏が一体になって一つの楽器のように思えました。
ジョンビリング3
3.『パヴァーヌ』……ルイス・ミラン
4.『Lachrimae』……ジョン・ダウランド
5.『Guardame las Vacas』……ルイス・デ・ナルバエス
これらの曲は、ルネッサンス期やバロック期の新しいレパートリーで、ライアーの可能性をどんどんと広げ、挑戦し続けていることが刺激的でした。
◆まず幅広い音域におどろきました。繊細な音色ながら、しっかりした音、包み込むような音、弾き方も様々で、こんな音も出るんだと、感動するとともに、ライアーの可能性の広さにワクワクしました。
6.『無伴奏チェロ組曲第一番ト長調より』……J.S. バッハ
7.『オカロラン作品より Sheebeg Sheemore/William Davis/Morgan Magan』
◆初めてライアーのコンサートに来ました。心がやさしくなる音色で、心にしみました。
◆今回で3回目にきかせてもらえて、また感動しています。魂の癒やされる時間をいただいています。今日も、いつもがんばっている自分のカラダさんと心にごほうびの時間となりました。
◆長くきれいな指で弦をつまびかれている姿が印象的でした。
8 『エチュード』……フェルナンド・ソル
9 『エチュード』……マッテオ・カルカッシ
実はジョンさん、ギタリストでした。それが、ある日、電車の中にギターを忘れて、結局出てこなかった時、ライアーを手にして、今のジョンさんがいます。そのジョンさんが前にギターで弾いていた曲です。
◆8.9のエチュードを聴いたとき、昔クラシックギターを習っていたことを思い出しました。自分も練習していた曲で、懐かしく、習うのもいいなと思いました。自分は弦の音が好きなのだと思い出して、とてもうれしい気持ちになりました。
10 『ピアノソナタ第14番「月光」より アダージョ』……L.v.ベートーヴェン
こんな曲を、ライアーで演奏できるなんて、夢にも思いませんでした!
◆はじめてここにきて、おとのみちをかなでるらいあーをひくじょんびりんぐさんには、いろんなひょうげん、かんじょう、たびのみちをかんじられます。
11 『アイルランド曲 Star of the County Down/King of the Fairies』
12 『Love Song without Words』 ……ジョン・ビリング
毎年ラストに弾いてくださった曲。
「あ?、私はジョンさんの足元にも及ばない!」そんな当たり前のことが改めてわかって、でも、やっぱりこの曲を今年も聞けたことがうれしくて、少し頭を傾けて、ニコニコしてしまいました。
◆Love song…初めて聴きましたが、素敵でした。チャーミングな曲で大好きになりました。
◆ シュタイナー学園初めてきました。木の匂い、ぬくもりあふれる室内でびっくりしました。ライアーと合っていてよかったです。
◆ 小さな星くずがキラキラしているような音色、とてもすてきでした。異空間、味わうことができました。
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●翌日の校内コンサート
翌16日(月)には、4年生以上の子どもたちと教員、希望保護者のために、1時間の演奏がありました。
プロの演奏をこれほど間近で聞ける子どもたちは、なんて幸せなんでしょう!
そして、4年生は、ジョンさんと原口先生のライアー伴奏で、木笛で『うさぎ』を演奏しました。
この日を心待ちに、木笛をうちで一生懸命練習していた子もいたそうです。ジョンさんとの共演……緊張ぎみかと思いきや、なんと堂々とした4年生の姿!
演奏を聞いている他の子どもたちの後ろ姿も、真剣に耳を傾けているのがよくわかり、赤ちゃんはこういう聞き方をするけれど、こんなに大きくなってもこんなふうに全身で聞けることは、すごいなあと思わずにはいられませんでした。それは、日頃、守られた空間の中で、静けさを大事にしているからこそなんだ、と実感できました。
* * *
ジュラケースに入れたしずく型のライアーと、トランクひとつで世界中にライアーの響きを届けているジョン・ビリング。まさに、現代のオカロラン。
別れ際、ハーモニクス奏法を教えてもらったけれど、うまくできなかった私に、「練習してね!」と。
ジョンさんと今度会うときには、もっと成長した自分でいるために、「はい。練習します!本気で!」
(5年保護者・ライアーの会 佐々木あけみ)