現在、日本には全日制のシュタイナー学校が7校あり、学校間の“横のつながり”もしっかりと育まれています。
7校の教員や運営者がこの夏、北海道・いずみの学校に集まり、研修や会議を行いました。
日本シュタイナー学校協会事務局も兼務する、学園の事務局長からのレポートです。
広い図書室の開放的な窓から、白樺の梢越しに噴火湾の美しい風景が広がる。8月、絶景にたたずむ北海道シュタイナー学園に、全国から約30名の教員・運営者が集まった。毎年、春と夏に開かれる日本シュタイナー学校協会の定例会議。全国7校から人が集まる。
年2回とは言え、生徒募集や様々な運営上の話題は各校とも切実な共通テーマであり、それぞれの報告が深い共感をもって受け取られる。とくに3.11以降の入学者の低迷は、各校が危機感を共有してきた。そんななか、サマースクールやホームスティ体験など、各校の個性的な取り組みからの学びも多い。授業料、児童募集、学童のあり方など、よき力をもらってきた。そして夜には懇親会があり、ときには微妙な話題も共有しつつ、各校の運営者は次の再会を約束しあう関係で帰って行く。
そんな信頼関係のなか、各校の連携なしには実現できないプロジェクトも実を結んできた。2015年のアジア・ヴァルドルフ教員会議の大きな成功はまだ記憶に新しい。毎年の夏に開催される教員研修は、今後の新設校を支援する役割も負う。まだ構想の段階だが、連携型教員養成が始まれば、教員資格の共通ガイドラインづくりも始まるだろう。新法の動きへの取り組みは、協会なしにはあり得ない。独自の教育を法律がカバーするためには、アクレディテーションと呼ばれる相互認証が求められるだろう。そこで、国際的なシュタイナー教育のガイドラインが活きてくる。国際指針づくりに取り組む国際ヴァルドルフ教育会議には、毎年、日本の協会からも代表を送っている。
そして2019年。シュタイナー学校誕生100周年の年。その祭典に向けた準備が世界で始まっている。2017年の日本のシュタイナー学校誕生30周年はそこへのステップだ。世界中が100周年に結集する歴史の鼓動を、教員も保護者も子どもたちもともに感じられたら。そんな思いで今、この活動に関わっている。
日本シュタイナー学校協会
http://waldorf.jp/
(事務局長 佐藤雅史)