シュタイナー学校を選んだからといって、すべての親がシュタイナー通?・・・というわけでは決してありません。
春と秋、年2回開催される「校内研修」は、わたしたち保護者自身がシュタイナー教育を肌で感じ、子どもの日々の学びを自ら受けとる、貴重な機会を与えてくれます。
この秋は「大人の体験授業」と題し、「手仕事」「くらしとしごと」「かず」「オイリュトミー」「粘土」といったシュタイナー教育ならではのユニークな授業がラインナップ。それぞれの素朴な疑問ともに参加した親たちの、素直な感想を2回にわけてご紹介。
~今回は「手仕事」篇をお届けします~
シュタイナー学校のカリキュラムにおいて特徴的な科目の一つに「手仕事」がある。実は、手仕事は科目の中だけではなく、シュタイナー幼稚園では先生方が日々行い、保護者も手を動かす機会が多い。私もその出来上がるものの美しさに惹かれて、編み物や染め物、縫い物などの手仕事に没頭し、長男が8年生になる今では、生活の一部になっている。私には癒し効果絶大な手仕事だが、子どもたちにはどんな影響があるんだろう?1年生から12年生まで続けていく手仕事が、子どもの成長に与える秘密を知りたくて参加した。
先生方からの課題は「クロスステッチ」。小さな × を異なる色の糸で沢山刺繍して、美しいグラデーションの模様を作っていく課題で、4年生頃に子どもたちが行う手仕事だ。
第二・7年期の真ん中頃の8~9歳のころ、子どもたちは「私」を自覚し始める。世界と一体化していた夢の中から少しずつ目覚めていく。その時の子どもたちは、不安感が強くなったり、攻撃的になったりと、不安定になりやすい。3年生の長女もその時期にかかってきていて、夜中に突然泣き出したりして、小さな時のように添い寝したりしている。この時期に緻密で時間も要するクロスステッチの作品に向き合うことで、あなたは大丈夫だよと子ども自身が変化を受け入れられるよう促していく。クロスステッチの × を人の腕で行ってみると、胸の前で手をクロスさせることになり、大丈夫だよと包み込まれるように感じた。
沢山の × は、沢山の大丈夫だよ、だったのだなと腑に落ちた気がした。
成長に合わせて、手仕事の課題も変わっていき、8年生の長男はウォルドルフ人形やオイリュトミークライトを手縫いで仕上げるなど、大人でも驚く集中力と実現力を見せてくれる。小さな手の中の仕事を続けていけば、大人になった時には、大きな仕事が実現できるだろう!
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