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ユネスコスクール セネガル研修報告

2017年1月27日

ユネスコスクールとして認定されている横浜シュタイナー学園は、昨年9月、文部科学省委託事業・ESD(持続可能な発展への教育)重点校形成事業の全国24校に選定されました。
さらに、日本国内から選出される10 校のうちの1校に選ばれ、「気候変動を切り口にしたホールスクールアプローチ」という旗艦プロジェクトに参加する事になったのです。その10校の中から、学園ともう一つの学校(名古屋国際中・高等学校)が代表として11/21〜23にセネガルで研修を受ける事になり、出かけてきました。お陰様で、無事研修を終え生還いたしましたので以下エッセンスをお伝えしようと思います。

ユネスコ ダカール事務所
研修をした建物の屋上からの風景

この研修自体、降ってわいたようなお話だったのですが「とりあえず黄熱病の予防接種だけ受けておいて下さい!」と言われ、出発の日程が確定したのがフライトの10日前、というバタバタのスケジュールでした(ちなみに、黄熱病の接種証明書は黄色くて“イエローカード”と呼ばれています)。セネガルは遠かった……。乗り継ぎを含め27時間以上のフライトを要する日本は、参加12ヶ国中もっとも遠い国でした。今回の参加国は日本、インドネシア、レバノン、オマーン、セネガル、ナミビア、ギリシャ、ドイツ、フランス、デンマーク、ブラジル、ドミニカ共和国です。インドネシアの先生が「時差のせいで午前2時に目が覚めて、そこから寝付けないんだよね。」とおっしゃるので「日本組は午前1時なんだよね。こっちの勝ち!」などと冗談をかわしつつ、各国の先生方と3日間みっちりの研修を共にしました。
内容はというと、気候変動そのものについての解説といったレクチャーはほとんどなく、メインは「ホールスクールアプローチ(英語ではwhole institute approach )をいかに実施していくか」でした。つまり、学校のあらゆる側面にESD及び気候変動の視点を浸透させる、というのが今回のプロジェクト参加校の目指すところという訳です。学校統治(理念)・授業や学び・学校施設や運営・地域との連携といった4つのカテゴリーのひとつひとつに、どのよう な取り組みが可能なのか、レクチャーもてんこ盛りでしたがブレインストーミング、ディスカッション、ロールプレイを交えてイメージを共有していきました。

ユネスコスールを訪問。ダカールの中でも豊かな小中高一貫校。

このホールスクールアプローチ、学校の風土自体を持続可能な社会を志向したものとする、と言い換えてもいいと思います。学園はすでにその方向性にあるので、親和性の高いプロジェクトだと言えます。 ただ学園の課題としては、ESDはまだしも「気候変動」を具体的にどのように扱っていくのか、私にもまだはっきりと道が見えていません。各国のプロジェクト参加校 10 校には、国を越えて活動を発信してほしいこと、可能であれば海外の他の学校とパートナーシップを組むなど共同プロジェクトも模索してほしいことなど、ユネスコ本部からは期待が述べられまし た。このためにOTA(ユネスコ本部が作ったオンラインプラットフォーム)を最大限活用してほしいようです。OTAには、気候変動について授業で使えるような良質の教材も複数載せてあるそうです。
今回の研修で、一番の収穫は各国の先生方といろんな話をして仲良くなれた事です。研修が終わるころ、ギリシャの先生が「研修明けの日にゴレ島(かつて奴隸貿易の拠点となった島で、世界遺産)ツアーに行きたい人?」とみんなに声をかけてくれ、私たち 20 人ほどがミニバスで観光に出かけました。そこでの先生たちの振る舞いにもお国柄や個性があふれていて面白かったのですが、その話はまたいずれどこかで。

ゴレ島
ゴレ島はかつて奴隸貿易の拠点だった

さて、私には今回の研修の内容を精査して、国内の 10 校(セネガルに行った私たち 2 校を除くと 8 校)の先生方に同様の研修を行うという仕事が残っています。1 月 28 日(土)と日程も決まったので、これから内容を組み立てたいと思います。
(英語専科 ユネスコスクール担当教員 内村真澄)
※12月16日発行「学園だより」から転載しました。